「フレックス短時間勤務制度」の導入で、仕事のアサインもしやすくなった!
同社は、2009年には「フレックス短時間勤務制度」を導入している。これは、1ヵ月の中で6割または8割の働くことを職場と相談しながら決める働き方で、コアタイムは無く、1日2時間勤務でも良く、繁忙期には家族の支援を得たり、ベビーシッターを雇うなどしたりしてフルタイム働くことも可能。 制度利用に際しては直近の2年間の業績が安定していることが条件。所属長からは仕事がアサインしやすくなったという声が挙がっている。制度を活用する人からも突発的なアクシデントが起こっても対応しやすく、計画が立てやすくなったなどの声が挙がっている。
利用者は両方の制度合わせて年間約100人。育児・介護中の人が利用するケースが多いが、最近の傾向として、晩婚化の影響もあり育児・介護をWで担うことになる人も増えているという。
短時間勤務制度を利用しているからといって役職に変化は無いし、評価体制も変わらない。同社では「目標管理制度」を取っており、年間の業績目標を年初に社員と所属長が話し合いで決めるので、目標が達成できなかったかどうかは本人にも分かる。逆に評価が納得いかない場合は不服を申し立て、第三者に調査をしてもらうことが可能な「オープンドア」または「コンフィデンシャリー・スピーキング」という制度がある。また、様々な仕事の社内人材公募があり、社員が自分の力で異動ができる仕組みもある。
同社では入社1年後から裁量勤務制度になり、もともと働く時間の長さではなく、成果で評価する風土がある。
この他に在宅勤務制度など、働く時間や場所の柔軟性を高めた長年の働き方改革の成果として、女性社員の定着率が高まり、女性管理職比率14%とワーキングマザー比率(平均35%)がおおいに向上した。
「自分で自分の働き方をデザインできる会社です。ロジック、ポリシーを持って働くことを楽しんでほしい」(同社人事ダイバーシティ企画・梅田恵部長)という。
モバイル制度、フリーアドレス制度など次々と実現させてきた同社だが、現在は妊活が公言されるようになったこともあり、「不妊治療休暇」などを検討している。
梅田部長は、「社員の価値観が多様化することを会社が尊重し、応援しているメッセージを送り続けたい」と締めくくった。
人事制度について、他社から相談されることも多いという梅田部長。日本IBMのダイバーシティ戦略はあなたの会社も見習うこともあるのではないだろうか?
【取材協力】
日本IBM(https://www.ibm.com/jp-ja/)
世界175カ国以上でビジネスを展開するIBMの日本法人で、基礎研究をはじめ、ビジネス・コンサルティングから、ITシステムの構築、保守・運用まで一貫したサービスの提供を通じて、お客様の企業変革やデジタル・トランスフォーメーションを支援している。
取材・文/稲垣有紀