熱中症対策のドリンクといえば、水やむぎ茶、スポーツドリンク、経口補水液などがある。それぞれの飲料の飲み分け術をノザキクリニック院長 野崎豊先生に教えてもらった。
熱中症対策のドリンクの飲み分け方
野崎先生は、水、むぎ茶、スポーツドリンク、牛乳の飲み分け方について次のように回答する。
-さまざまなドリンクがありますが、水では不十分なのでしょうか?
野崎先生:水で水分補給はできるのですが、ミネラル入りむぎ茶、牛乳では水分補給以外に、次の効果があるといわれています。
1.ミネラル入りむぎ茶
(1)血流改善効果がある。
皮膚表面の血流量が増加し、熱交換/体温降下が促進される。
(2)一般の人が汗で失うミネラル(Na)が補える。
2.牛乳
運動直後摂取で、血漿量と漿アルブミンが増えることで、血流量が増加し、熱交換/体温降下が促進される。
-通勤後に大量に汗をかいたときなどは何を飲むのがベストでしょうか?
野崎先生:通勤は毎日のことであり、特に激しい運動をしているわけでもないので、糖質や脂質を含んだ飲料を毎日飲むと、糖質や脂質の過剰摂取・肥満の懸念が生じます。糖質・脂質やカフェインが含まれておらず、適度なミネラル分を補給できるミネラル入りむぎ茶がおすすめです。
野崎先生によると、一般的にドリンクは次のように飲み分けると良いという。
●日常…水、ミネラル入りむぎ茶など
糖分を含まないもの。
●大量に汗をかいた際…スポーツドリンク
ただし、飲み過ぎはよくない。肥満や一過性の糖尿病のリスクがある。
●脱水症状が出た際…経口補水液
予防で飲むと塩分過剰になる恐れがあるので注意。
-コーヒーを常飲しているビジネスパーソンは多いと思われます。コーヒーは水分補給になるのでしょうか?
野崎先生:コーヒーにはカフェインが含まれますので、飲み過ぎると少なからず、利尿・脱水が生じ、熱中症のリスクが高まります。コーヒーを飲み続けるのであれば、水分・ミネラルの補給を推奨します。水分・ミネラルの補給には、ミネラル入りむぎ茶のような糖質、脂質、カフェインが含まれておらず、適度なミネラル分を含んだものがおすすめです。