スウェーデンを旅するとわかるが非常に牧場が多く、羊の飼育も多い。ところが大部分の牧場では、刈った羊毛を廃棄しているのだという。
この現実を知ったフェールラーベンは「せっかくの羊毛を活用したい」と南部の小さな島の工場に依頼し、国内産羊毛を使った製品を作りはじめた。
ご存じの通り、羊毛は水をはじき、ほどよく湿気を吸収するので肌をドライに保てる天然の機能性素材。スウェーデン製羊毛の製品はまだまだ少ないが、フェールラーベンの企業姿勢がよくわかるプロジェクトだ。
日本での来期製品発表会では「サステナビリティ」を大きくアピール。
おなじみのカンケンは、日本で開発された「ビニロンF」製。ビニロンFには湿気が多いと繊維が膨張し、撥水性が高まるという性質があるので、撥水加工不要。グリーンランドジャケット同様、長く使用できるというわけ。
リサイクルナイロンを31%採用した新素材「バーグシェル」製ヒップパック。バーグシェルはフェールラーベンのオリジナル素材で、引き裂き強度も摩耗強度も高く、いろいろなシーンで活躍する。
スウェーデンでは、ストックホルムのような大都市であっても、クルマで30分も走らせれば到着できる自然保護区が8か所ほどある。日常の生活と自然が身近で、60年代の酸性雨による森へのダメージにいち早く気づき、幼少期から環境教育を取り入れるようになった。
スウェーデンの人たちは日常的に環境について考える機会が多く、フェールラーベンに限らず、スウェーデンのモノ作りに大きな影響を与えている。
流行にとらわれず、タフで機能的なウエアを大切に着続ける。フェールラーベンの取り組みはもちろん大歓迎だし、何よりも長く着続けたウエアはカッコイイ。道具やウエアを購入する際、いつかキャンプ旅の思い出とともに子へプレゼントできるものを選ぶというのもよさそうだ。
取材・文/大森弘恵