■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
キャンプでは急な雨に備えたジャケット&パンツが望ましい。ところが撥水加工を施した今どきの軽いウエアは、焚き火をしているときに火の粉で小さな穴がポツポツとあいてしまうことも。厚手の帆布エプロンをかけて対応すればいいが、それでも油断すると袖口や肩に穴をあけて残念なことになりかねない。
また、生地の耐水性を高めるために多くのレインウエアではポリウレタンコーティングを施しているが、これは湿気による劣化(加水分解)が進みやすく10年着続けるのは大変な手間がかかる。
スウェーデンの王室が愛する国民的アウトドアブランド「フェールラーベン」を代表するG-1000素材のウエアは、雨にも焚き火にも強く、子から孫へと受け継がれることは珍しくないという。
フェールラーベン本社のサステナビリティ・マネージャー、クリスチアナさんは、5歳と7歳の子を育てるママで、休日には自宅そばの森やストックホルムにほど近い自然保護区に出かけて子どもたちと過ごしているそうだ。
彼女が着ているグリーンランドジャケットは、おばあちゃんから受け継いだもの。
「スウェーデンでは、子供のころはカンケンバッグを持って学校へ行くほどフェールラーベンは身近な会社です。このジャケットは今でも古さを感じないし、しなやかで着心地がいいですよ」(クリスチアナさん)
レザーのロゴはエンボスの見分けが付かないほどくったり。長く着続けている証だ。クリスチアナさんによると、この古いジャケットを着ていると、褒められることも多いそう。
30年にわたり日常やキャンプで着られているジャケットなので、やぶれやほつれが生じている。こうした不具合は、自分で修理することもあるし、大きな破れは店舗に持ち込んで補修しているそう。
グリーンランドジャケットで採用されているG-1000は、ポリエステルとコットンを高密度に織り上げたオリジナル素材で、定期的に専用ワックスをかけることで、防水性と耐風性を高められる。反対に、蒸し暑い時期は、洗濯によりワックスを落とせば通気性を確保できるため年間を通して活躍する。