◆高橋晋平の憂鬱な月曜日を楽しくする研究会
日本には、休日明けの月曜が嫌いな人が多すぎる……。その現状を改善するため、月曜日を楽しくしたい人のコミュニティ「月曜クラブ(通称:月ク)」が立ち上がりました。この連載では、月曜日の憂鬱を減らし、一週間を楽しく過ごす方法を研究、紹介していきます。
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今回は、月曜日の就業方法を変えることで従業員がイキイキと働き、業務効率化や生産性を向上させるための制度、名付けて「Super Happy Monday」(スーパーハッピーマンデー)を導入しているIT企業、Supership株式会社に、本当に名前負けしていない効果があるのかを追求しに行ってきました。
Supershipホールディングス株式会社人財開発本部 人事企画部の松岡広樹さん(左)と、経営戦略本部 ブランドコミュニケーション部の佐藤翼さん(右) ※本文中では敬称略
-御社はSuper Happy Monday(スーパーハッピーマンデー)という強気な名前の制度を導入していると伺いましたが、これはどういう制度なんですか?
松岡:「月曜AMのみに使える最大2時間の特別有給休暇」で、付与されている年次有給休暇とは別に、Supershipが独自に導入している休暇制度です。特別有給休暇なので、つまり、給与が減ることなく、単純に月曜AMに休暇がとれるんです。
-どうしてこの制度を始めたんですか?
松岡:弊社は「データテクノロジーカンパニー」と自称しているように「データ」をビジネスの中心に据えているのですが、自社の人事領域でも、得意な「データ」の力を使って、生産性向上や従業員の満足度向上施策を作りたいという背景がありました。
-データ、ですか。
松岡:データって、感情論などで賛否が分かれるような物事に対して使えることが多いんです。特に人事の施策ってそういうものが多いんですね。これを、データで効果を測ることで判断し、本当に効果がある人事施策を作っていきたいと考えていました。そんな折に、経済産業省が例の「シャイニングマンデー」を提唱し始めて、これが「プレミアムフライデー」に次いでいろいろな物議を醸していたんですね。ネット上では実際、「愚策なんじゃないか」という声もあったりして。僕らは、そういう、賛否があるもの、さらに言うと否が多いものほど、データを取ってみたいなと思ってしまうんです。
-面白いですね!
松岡:月曜の午前中って、みんな「だるい」って言いがちだし、生産性が低そうだなっていう感覚値もあったので、そこを思い切って休みにすることで、結果的に生産性や満足度が上がる可能性はあるなと。でも、判断する材料がないので、2カ月間トライアルで「月曜AMは休み!」としたら、どういう効果をもたらすのか、データを取ってみないか、という議論になったのが、最初のきっかけでしたね。
-月曜AMは、全ての社員が休み、ということですか?
松岡:Supershipの全社員を対象に、希望者は毎週でも取ってよいということになります。2カ月間のトライアルで集まったデータの概要が、こちらになります。
まず、労働時間の変化に関しては、月曜日にこの制度を利用した社員は単純に遅い出社になるので、労働時間は減りますよね。しかし、それだけでなく、1日当たりの総労働時間が、1日34分、月に換算すると約10時間減ったということになります。
-なるほど。でも、これ、月曜日の削減量が2時間22分ですよね。34分を週5日に慣らすと、2時間50分だから、他の日に関しては、誤差程度しか減っていないということになりますか?
松岡:このデータが示すポイントは、火曜から金曜に、月曜の労働時間を減らした分の「しわ寄せ」が来ていないということなのです。月曜日の労働時間が減ったのに、火曜から金曜の労働時間がさらに増えたりしたら意味がないわけです。しかしこのデータを見ると、トータルで減っている。結果的に、34分×月の営業日分の労働時間が、この制度を利用した全社員の分、減ったということになります。
-そう考えるとすごいですね! で、2カ月間のトライアルで満足度も高かったので、本導入をしようということになったんですか?
松岡:はい。現在、毎週月曜日に、社員の約50%がこの制度を使って休んでいます。毎週使う人もいれば、自分のリズムに合わせて月何回使う、という人もいます。