イギリス南部、緑豊かな小さな村、スラクストン。わらぶき屋根のコテージが並ぶこの村に飛行場が作られたのは、1940年のことだ。イギリス空軍とアメリカ空軍によって使用され、1942年1月にはフランス・ブリューネバルに設置されたドイツ軍のレーダー奪取作戦に備え、イギリス空軍のAW38ホイットレー爆撃機が12機着陸したと記録されている。
軍の飛行場としての役目は1946年に終了し、1950年から滑走路と周辺の道路を使ってバイクのレースが開催されるようになった。1968年、飛行場を囲むかたちでスラクストンサーキットが設立。1周3.793kmのこのコースでは、現在も英国スーパーバイク選手権やクラシックカーレースなどが行われ、人気のモータースポーツスポットであり続けている。
スラクストンの名を冠した現代版カフェレーサー
スラクストンという名には、歴史のどっしりとした重みがある。そのうえで、シックなブリティッシュグリーンに彩られたオールドスタイルの「トライアンフ スラクストン1200R」を眺めると、時空を超えた妄想が止まらなくなりそうだ。
タレ角がついたセパハン、長いタンク、エンド部が丸みを帯びたシングルシート、そして丸目ヘッドライト。スラクストン1200Rは、現代版カフェレーサーの代表格である。「現代版」というところがポイントで、決して懐古主義的な古ぼけたバイクではない。
外観はクラシカル。中身は最新鋭。そして乗り味は上質。眺めて、乗って、満足感が得られる1台だ。試乗車はオプションのカフェレーサーフェアリング(ハーフカウル)を装着している。
ブリティッシュグリーンとメカニズムのコントラストが映える(メーカーはコンペティショングリーンと称している)。スラクストンは1200と1200Rをラインナップ。Rはステンレス製フューエルタンクスラップなどの専用部品を装備する。
カフェレーサーらしさを引き立てるバーエンドミラーを標準装備する。
Vance&Hines製のステンレス製スリップオンマフラーやカフェレーサーフェアリングなど、アクセサリーが豊富に取り揃えられているのも魅力だ。