■連載/阿部純子のトレンド探検隊
異なる3つの注ぎ方で味わいの違いを実感する
“完璧な生ビール”を追求したスタンディング式のビアバー「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」が銀座プレイス地下1階にオープンした。昨年まで期間限定で開催されていたが、アンテナショップとして初の通年営業を行う。
その日の1杯目を「完璧な生」でスタートすることをコンセプトに、扱うビールは「サッポロ生ビール黒ラベル」1種のみで、3つの注ぎ方によって異なる「パーフェクト黒ラベル」「ファースト」「ハイブリッド」の3種(各500円・税込以下同)を提供し、味の違いを楽しむ。使用するカランは「2口カラン」(下記画像左)「スウィングカラン」(同右)の2種類。
ミクロン単位のきめ細やかな泡にこだわった、口当たりのいいクリーミーな泡を7:3の黄金比で提供する「クリーミー」、グラスを徹底的に洗浄し“レーシング”(飲むたびにできるレース状の泡跡)ができる「クリア」、樽からグラス、注ぎに至るまで徹底した温度管理を行う「コールド」という“3C”を実現した完璧な生ビールを提供するために、さまざまな工夫が施されている。
グラスは特注で作られた、420mlワンサイズの薄口専用グラスのみ。グラスを薄くすることで口当たりの良さ、注ぎ方による味の違いをしっかりと感じられる。3C条件のひとつ「クリア」で、正しく洗浄された証であるレーシング実現のため、グラスは1日1回しか使わない。
想定来客数は1日350名、原則は一度の来店でひとり2杯まで、その計算でグラスは700~800個ほど用意している。また、カランからビールを注ぐ前に「グラスリンサー」にかけて、ビール液と同じ4度前後の冷水でグラスを一気に冷やしつつ仕上げの洗浄をする。
〇「パーフェクト黒ラベル」
規定の3Cを実現したのが「パーフェクト黒ラベル」。2口カランを使い、ビール液を7分目まで注いでから、横から出る特殊なノズルで泡を注いでいく。横からグラスの縁に押し当てることでミクロン単位のクリーミーな泡に仕上がる。余分な上澄みの泡を切って完成。もっちりとしたクリーミーな泡が特徴。
〇「ファースト」
スウィングカランを使った一度注ぎで、泡とビールを作りながら一気に勢いよく注ぐ。2口カランがゆっくりと注ぐのに対し、スウィングカランは5~6秒で注ぎ終わる。液体のようなとろとろしたミルキーな泡で、余分な炭酸が抜けてすっきりした味わいなので、1杯目や暑い時期におすすめ。
スウィングカランは昭和40年代に主流だったビアホールで良く使われたタイプを復刻したもの。一度注ぎなので短時間で数多く注ぐことができ、ビールがメインのビアホールなどに向いている。しかし、栓をひねってビールが出すか止めるだけの機能で泡付けするのが難しく、グラスの傾きや、まっすぐに注いで泡の感じを確かめてから止めるという技術が必要で、慣れないと泡だけになるか、泡がまったくないビールになってしまう。注ぎ手の技量が問われるため、居酒屋などだれでもおいしく注げるように開発されたのが、「パーフェクト黒ラベル」で使われる2口カランのタイプだ。
〇「ハイブリッド」
2つのカランを使って注ぐ。パーフェクトと同様に2口カランから7分目まで液を注ぎ、その上にスウィングカランで泡付けをしたもの。のどごしはやわらかく、泡の質感がパーフェクトとは違った味わいになる。