金融庁の「老後2千万円問題」で、自身の老後に不安を覚えたビジネスパーソンは多かったのではないだろうか?
そして、正社員として勤務するビジネスパーソン以上に戦々恐々としているのが、フリーランス(個人事業主)の人たちかもしれない。
額の少ないフリーランスの年金
フリーランスは、会社員と違って老後の年金は「2階建て方式」(厚生年金+国民年金)ではなく、満額でも月6.5万円の国民年金のみ。もともと受け取れる額が少ないのに、千万単位の蓄えが必要と言われてしまえば、不安になるのも当然。もっとも、少し前から巷では「老後資金として3千万円は要る」などと報道されていて、待ったなし感はあったが……。
フリーランスのイラストレーター兼漫画家として働くフカザワナオコさんも、そんな老後の備えに不安を抱く一人だ。数年前に、契約社員(後に嘱託社員)の男性と結婚するも、財布はずっと別々で互いの収入も知らない。自身あまりお金のことを考えてこなかったこともあり、ファイナンシャルプランナー(FP)の門を叩き、家計診断を依頼する。年間の家計のやりくりを一覧にした表を提出したところ、FPからショックな一言が。
「どよよーん」という雰囲気からスタートした家計の見直しを、フカザワさんがコミックエッセイとして1冊にまとめたのが『45歳、結婚3年、お金オンチの私にもわかるように 家計と老後のことを教えてください!』(ダイヤモンド社)だ。
本書には、フリーランスとしていかにロングスパンを見据えた資金作りを行うか、フカザワさん夫婦が実体験したエピソードが盛り込まれている。どんなことが描かれているか、いくつか紹介してみよう。
場合によっては「お守り」にもならない医療保険
さきほどのFP(深田晶恵さん)に、加入中の保険を見てもらったフカザワさん夫婦。夫のハッチーさんが、7年近く入っている医療保険が問題だと指摘される。
その保険は、保険料は月額約5千円で、入院時に日額1万円、手術に応じて10~40万円支給されるというもの。
深田さんは、「どんながんの手術でもかかる費用ってだいたい100万円前後なの。ってことは健康保険が適用されると実際払う額は30万円」とはじめ、さらに高額療養費制度に説明が進む。
医療費が嵩んだら高額療養費が適用される(本書より)
高額療養費制度によって、ハッチーさんの負担額は6万円へと減額され、超過支払い分は後で還ってくる。さらに、ハッチーさんの勤務先の手厚い健康保険によって、自己負担額の上限は月額2.5万円であることが判明。
深田さんは、「医療保険は基本的に入院か手術をした時にお金がもらえる」もので、医療技術が進んで抗がん剤投与・放射線治療も通院で済むようになったこともあり、「この医療保険いらないっ」、「お守りにもならないわ」とピシャリ。見方を変えれば、この保険を解約することで毎月5千円の負担がなくなり、家計改善へ一歩前進。