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入社4年目社員の本音「新薬開発の仕事は〝患者を治したい〟という思いと〝研究が好き〟という気持ちが重要」協和キリン・吉岡紗衣子さん

2019.07.05

研究へのオリジナリティーが問われる

「吉岡さん、何がやりたいんですか?今後何をしていきたいの?」所長からそんな質問をされたのは、入社4年目の面談の時でした。これまでタネの入ったプレートを機械に入れ、発光を観察することで細胞の増殖を確認していましたが、「顕微鏡を装備した機械を使ったほうが、より細かく現象を観察できるんじゃないですか」とか。

 そんな提案はしてきまたが、日々の実験・研究は「これをお願いします」という頼まれた仕事に従事してきて。受け身だったなとこの時、自分を振り返り改めて思いました。

「今、製薬会社は研究を外部に委託することが多くなっている。こういう時代だからこそ、この会社の研究員として、何をやるべきか、オリジナリティーが問われています。そこをちゃんと考えて」と、所長にアドバイスされて、その通りだなと。

 何かを生み出すような提案をしたい。自分は何をしたいのか、自分の強みってなんだろうと考えました。

 私は学生時代、ips細胞に取り組んでいたので、これで何かできないか。ランダムスクリーニングは、例えばタネに疾患のモデルとなる細胞を加え、細胞の数が増えるかどうかを評価するのですが、患者さんの細胞を入手するには、数も少ないしコストもかかる。患者さんにも負担を強いることにもなります。神経や脳の細胞は採集することができません。

 利便性やコストの面から、今のスクリーニングは必ずしも、見たい病気の細胞を使うことができているわけではない。でも、ips細胞なら患者さんから提供された細胞を使い、何回でも疾患に似た細胞を増やすことができます。すでに神経や脳の疾患の細胞を作り出すことに、成功したという報告もあります。病気を反映した細胞を実験モデルとして新薬開発に使えれば、より正確なスクリーニングができます。

 ips細胞を使ったいろんな研究は今、多くの研究者が取り組んでいます。私もips細胞を使った新薬作りの研究方法の工夫をしてみたい。

 私、勉強は好きですよ。でも子供の時から要領が悪いんです。そんな私にはミクロンの世界で、地道にコツコツと宝物探しやるような今の仕事が向いている気がしています。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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