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軽自動車の安全性能はどこまで進化したのか?ホンダの衝突安全テストに密着

2019.07.07

ホンダが2003年9月に登場した軽自動車、ホンダ・ライフに初採用したコンパティビリティ対応ボディとは、衝突時の「自己保護性能」と、「相手車両への攻撃性低減」を両立する車体安全技術であり、クルマ相互の衝突時に衝突エネルギーをエンジンルームで効率よく分散・吸収することで、自己保護性能を大幅に向上するとともに、相手車両への攻撃性を低減する効果があるという。

つまり、大きく重いクルマと、軽自動車のような小さく軽いクルマが衝突した際、お互いの衝突被害を最小限にしてくれるというわけだ。

屋内型全方位衝突実験施設での衝突安全テストは、厳粛な空気の中で行われた。そう、宇宙船の中でこれから未知の何かが始まろうとしているかのように、である。

10,9,8,7,6,5,4,3,2,1・・・とカウントダウンが始まり、今日の実験の主役であるホンダN BOXと、車重比1・5倍のホンダ・インサイトが実験施設の中心に向かって一目散に走ってくる。どちらも時速は50km/h。ラップ率50%(車体前方の半分同士が衝突する感じだ)、そして重要なことは、50km/hで走行するクルマ同士が正面から衝突した場合、相対速度は50km/h×2の100km/hに達するということだ。

やがてホンダN BOXとホンダ・インサイトが、施設内の空気を震わせ、大きな音をたてて衝突した。それが実験だ。

見学者のわれわれは、安全のため、離れたところから高みの見物だったが、事故の重大さはその衝撃音からも十分に理解できた。ホンダ・インサイトのほうは、衝突した場所からほとんど動かず、前を向いたまま停止していたが、軽く小さいN BOXは一瞬、宙に浮き、回転した後、停止したのである。

しかし、驚かされたのは、実験終了後、現場に歩いて到着した時だった。すでに飛び散ったボディの破片は片づけられていたが、まず、ホンダ・インサイトのほうはボンネット部分片側が損傷していたものの、Aピラー以降はダメージがないように見え、フロントウインドーさえ割れていない!

一方、気になるホンダN BOXのほうはと言えば、さすがにフロント部分の損傷度合いはインサイトを上回り、フロントウインドーとAピラーの三角窓部分は割れていたが、なんと、衝突した側の運転席フロントドアですら無理なく開けることができ、さらにリアスライドドアはアウトサイドオープナーを引くだけで何事もなくスルスルとスムーズに開いたのである。ホンダのコンパティビリティ対応ボディの面目躍如というしかないだろう。

もちろん、N BOXの標準車、カスタム全18グレードのうち、G、Lを除く14グレードに標準、G、LにもOP装備できる前席用i -サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム〈前席/後席対応〉が展開していたことはいうまでもない。そして先進安全支援技術のHonda SENSINGの衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、ACC〈アダプティブ・クルーズ・コントロール〉、LKAS〈車線維持支援システム〉、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、後方誤発進抑制機能、オートハイビームは今や全車標準装備なのである。

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