運転していてアクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えたことはあるだろうか?
通常の運転ではあまり考えにくいが、高齢やパニックが要因となり誤操作を起こすことがあるようだ。
この記事では、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いを防止する対策を考えてみたい。
※写真はイメージです
アクセルとブレーキの踏み間違いは初心者に多い?
2019年6月21日に閣議決定された2019年版「交通安全白書」によると、2018年に起きた75歳以上の高齢者が運転する死亡事故は、免許人口10万人当たりで8.2件と、75歳未満に比べて約2.4倍となった。
そして、昨今問題視されているブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故の割合は、75歳未満では全体の1.1%なのに対して、75歳以上では5.4%と5倍ほど多くなっている。
交通事故総合分析センターのデータでは、ペダル踏み間違い事故は75歳以上の高齢ドライバーが起こしやすいとする一方で、24歳以下でもペダル踏み間違い事故が多い。
同センターの資料によると、操作ミスが起こりやすい人的要因として、「慌て、パニック」を主要因としており、高齢に加えて運転に不慣れな初心者がアクセルとブレーキを踏み間違えると推測される。
踏み間違いは若者とは異なる高齢者の身体構造も原因のひとつ
高齢者は体の柔軟性が低下し、ペダル踏み間違い事故につながりやすい傾向にあることもわかってきた。
交通事故総合分析センターが62歳〜86際までの男性40名、女性6名に後退時の運転検証をしたところ、高齢ドライバーは男女を問わず若者に比べて内旋角が小さい傾向にあり、高齢ドライバーのペダルを踏む足先が開きがちで、加齢とともにアクセルペダルに近い位置に踏み位置が変化しやすいと考察している。
ブレーキとアクセルの踏み間違い事故を防止するには?
高齢者は身体能力や体の柔軟性が低下することで、思うように体が動かず、意図しないところで操作ミスをしてしまうこともあるようだ。その点に配慮して、正しいシートポジションを取り、運転操作に支障の出にくい運転姿勢を取ることが大切だ。
また、注意力を高め運転に集中するためにも、カーナビ操作は控えるなど、ブレーキとアクセルの踏み間違いを防ぐ努力も大事だろう。
アクセルペダル踏み間違い解消装置
運転に集中し、操作ミスを減らす努力と共に、近年ではアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故の解消を目的とする装置が開発されている。
一般的に「ペダル踏み間違い時加速抑制システム」と呼ばれる装置で、ブレーキペダルと間違えアクセルペダルを強く踏み込んだ場合、加速を抑え警告を発して、衝突被害の軽減を支援するものだ。
ペダル踏み間違い時加速抑システムの新車への装着率は、国土交通省の調査によると2017年では65.2%を超えている。
しかし、ペダル踏み間違い時加速抑システムが装着されていないクルマもまだまだ多い。
そこで、後付けできるペダル踏み間違い時加速抑制システムが注目されている。
【参考】国土交通省報道発表資料
アクセルとブレーキの踏み間違い事故防止装置を装着しよう
ペダル踏み間違い時加速抑制システムは、オートバックスから「ペダルの見張り番」が発売されている。
【参考】【開発秘話】年間販売目標を5日で達成したオートバックスの急発進防止装置『ペダルの見張り番』
これは、適応する車両へ取り付けると、発進時などにペダルを踏み間違えてアクセルを強く踏み込んでも、急発進を抑制する装置だ。後退時も踏み間違えで急発進しないように抑制する。
トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、マツダ、三菱、スバル、ダイハツ、スズキら国産メーカーの幅広い車種に対応、販売および取り付けは全国のオートバックス/スーパーオートバックスの店舗で行われる。
オートバックスの「ペダルの見張り番」は本体と取り付け工賃込みで3万2399円(消費税込み)となっている。
トヨタの後付けできる踏み間違い事故防止装置
後付けできる踏み間違い防止装置を、2018年12月5日よりトヨタが発売した。
この装置を「踏み間違い加速抑制システム」と呼び、本体、付属部品などを含めて価格は5万5080円(消費税込み・取り付け工賃別)となる。
ダイハツの後付けできる踏み間違い事故防止装置
ダイハツは「つくつく防止(ぼうし)」と呼ぶ後付けできる踏み間違い防止装置を、トヨタと同じく2018年12月5日から発売している。
「つくつく防止」の本体価格は3万4560円(消費税込み)。標準取り付け工賃は2万9030円だ。
ホンダの後付けできる踏み間違い事故防止装置
国土交通省の石井啓一大臣が「ペダル踏み間違い時加速抑制システムを新車対策に加えて、既存車への対策を進めるべく自動車メーカーに後付けの安全運転支援装置の開発を要請してきた」とする中、ホンダも後付けできるペダル踏み間違い加速抑制システムの開発を進めていることを2019年6月19日に発表した。
※データは2019年6月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用、操作はあくまで自己責任にてお願いします。
※踏み間違い加速抑制システムは自動ブレーキではありません。必ずドライバー自身でブレーキをかけてください。
文/中馬幹弘