パフォーマンスはiPhone 7よりやや劣るが、良好な操作性を実現
では、パワーアップしたといわれるパフォーマンスはどうか。先に述べたとおり、第7世代のiPod touchには、iPhone 7と同じ「A10 Fusion」が採用されている。現行のiPhoneに搭載される「A12 Bionic」と比べると2世代ほど古いチップセットだが、iPhone 7が今でも現役のスマホとして販売されていることを考えると、これでも十分な性能を発揮できるはずだ。
ベンチマークアプリのGeekbenchでCPU、GPUのスコアを計測してみたが、結果は以下のとおり。CPUはシングルコアスコアが2559、マルチコアスコアが4674で、iPhone 7よりやや劣る数値が出た。GPUの性能を示すMetal Scoreも1万482で、こちらもiPhone 7より少し低い結果になっている。Geekbenchに表示されたクロック周波数を見ると、iPod touchのA10 Fusionは1.64GHzと、iPhone 7用のものよりやや性能が落とされていることが分かる。これが、スコアに影響したと見ていいだろう。
Geekbench 4で計測したスコアはご覧のとおり。同じチップを搭載するiPhone 7より、やや低い数値だ
とはいえ、操作性がこのスコアに比例して悪くなっているかというと、そうではない。アプリの起動速度や、ブラウジングのスムーズさ、各種アプリの反応などは良好で、iOS端末ならではの気持ちよさがある。また、サードパーティがAR(拡張現実)機能を実装するための「ARKit」にも対応しているため、ARを活用したアプリもきちんと動作する。アップル自身もこの機能を使い、iPod touchに「計測」アプリを内蔵しており、モノの長さなどを測ることが可能だ。
ARKitにも対応しており、「計測」アプリも利用できる
ゲームアプリも実際にいくつか試してみたが、きちんと動作した。ただし、ネットワーク環境が必須のゲームは、外出先で遊ぼうとするとテザリングなどでネットに接続する必要があり、少々面倒だったことは付け加えておきたい。これについては、Apple Musicも同じで、ダウンロードしていない楽曲はネット接続がないと聞くことができない。スマホに慣れてしまった身からすると、どうしても不便さが気になるところだが、ここは、“iPod”として割り切るべきところなのかもしれない。
操作性に関しては、大画面のiPhoneに慣れてしまっているためか、文字入力が少々しづらいのが気になった。特に、QWERTYキーボードにすると、キー1つ1つが非常に小さくなるため、誤入力してしまうことがiPhone以上に多かった。手の大きさや指の太さによるところもあるため一概にはいえないが、自分には、もう少し画面が大きい端末の方が合っているのかもしれない。
ディスプレイが小さいためか、手が大きいとQWERTYキーボードが少々打ちづらいのは難点