留年してしまったら気になるのは「就活」。最低修業年限(4年制大学の場合は4年)で卒業していないという事実は、企業の採用担当者が履歴書を見ればすぐに判ってしまいます。「留年したことが就活時にマイナスに受け取られないか」「なぜ留年したか聞かれないか」など、不安に思う事もあるかもしれません。
しかし、中には6回留年しても就活できた……そんな強者もいます。
そこで今回の記事では、留年してしまった、もしくはその可能性がある人に向けて、留年時の就活攻略方法をお伝えします。
大学を留年してしまった場合、就活は不利になる?
必須単位を取得しきれず、留年をしてしまったからといって、100%就活で不利になる。ということはないようです。企業にとって重視すべきなのは、「その人が何をしてきたか」よりも「その人が今後、どう活躍してくれるか」であり、いかに難関な資格の取得や人には無い実績を積んでいても、「その経験をどう活かせるか」が明確に伝えられないと、留年の有無に関わらず採用はもらえません。逆にいえば怠惰に過ごしてしまい、勉強不足などが原因で留年したとしても、「その経験をどう活かせるか(活かしたか)」が明確に伝えられれば、就活成功の可能性は大いにあります。
留年した理由は必ず聞かれる?
先述した通り、履歴書やエントリーシートを見れば留年したことはすぐに判ります。しかし、だからといって、必ず面接時に留年の理由を聞かれるとは限りません。ですが、聞かれる確率が高いのも事実。もし留年の理由を聞かれた場合は、採用担当者が納得いく理由を用意しておきましょう。
留年した理由を面接で聞かれたら? 採用担当者へ好印象を与えるには?
大前提として、嘘をついてはいけません。例えば「海外留学に行っていた」「難関資格の取得に励んでいた」「大病を患い休学していた」など、実際には体験していないことを話すのはNGです。
ですから就活前(1~3年生時)に留年が確定した場合は、「理由作り」や「実績」を残しておくのも良いでしょう。
また「サボりすぎて~」「アルバイトをし過ぎて~」「試験の点数が悪くて~」といった、一見マイナスに受け取られそうな理由でも、「そこから何を反省し、何を得たか」を具体的に話すことができれば、プラス要素に転じるケースもあります。無論、「サボり過ぎたので留年しました」だけでは、かなり心の広い採用担当者でない限り、採用されることはないでしょう。
留年した理由、履歴書・エントリーシートにはどう書く?
上記「留年した理由を面接で聞かれたら? 採用担当者に好印象を与えるには」と同じく、嘘をつかずに正直に書くことが大切です。ただし正直に書く、といっても「そこから何を学んだのか」「留年の経験を今後どのように活かしていくのか(活かしたのか)」など、「転んでもただでは起きない」姿勢を見せることが大切です。
また少し面倒かもしれませんが、文面は必ず自分で考えるようにしましょう。ネット上にある「テンプレート文」などを引用し、留年理由を書くことは簡単ですが、危険な面もあります。なぜなら、それは「あなたの言葉」ではないので、面接時に質問された場合、しどろもどろになる可能性が高いからです。
留年した場合の就活のやり方は?
留年が確定するのは、必ずしも4年時とは限りません。早い人では、必修科目の単位を落としてしまい、1年時から留年が確定する人もいるでしょう。この項目では、そんな留年が確定した人に向けて、留年時における就活のやり方を紹介します。
留年が確定したら、いつから就活をはじめられる?
留年が確定するのは、だいたい成績が出る前期か後期の終わりです。ですから4年時の冬(卒業間際)に留年が確定した場合は、現3年生と同じスタートラインとなります。面接やエントリーシートを送ることは、相手(企業)が募集していなければできませんが、自己分析や研鑽はできるので、留年が決まったその日から、しっかり準備しておきましょう。
半年間だけ留年した場合の就活方法
また稀なケースで、留年したものの、翌年の前期で単位を取得すれば、卒業できるケースがあります。その場合、前期で就活をしながら単位を取得し、卒業(前期終了)と同時ないし翌年度4月に就職できることもあります。
このあたりは大学の就職課とよく相談しておきましょう。
留年したら就活サイトはどうすればいい?
例えばあなたが2020年度卒予定だったものの、留年が確定し、2021年度卒となった場合は、登録する就活サイトは2021年度卒業版にしましょう。
留年したことが不利になる業界は?
上にも記しましたが、留年したことが100%不利になる。ということはありませんが、中には不利になる業界もあるようです。またその反対に、留年したことがプラスに働く業界や職種もあるようですので、自身が希望する業界の傾向や特徴をよく調べておきましょう。
就活をやり直す、就活留年とは?
就活(就職)留年をご存じでしょうか? これは自身の就活に納得がいかなかった学生が、単位などは足りているにも関わらず、あえて留年することで、翌年に就活をすることです。
「そんなことして、面接の時に不利じゃないの?」と思うかもしれませんが、実は企業は留年したこと自体、あまり気には留めていないようです。年齢が他の新卒者と比較して少し高くても、長期に渡って結果さえ残してくれれば良い。というのが企業の考えです。
また日本の企業は「新卒」を重視する傾向にあり、「新卒ブランド」を保つための就活留年は、決して悪い選択肢とはいえません。
しかし、こういった学業とは無関係の留年は問題視されており、厚生労働省は2010年より各省庁と連携。企業への既卒者の採用を奨励しています。今後は就活留年をせずに卒業し、アルバイトなどをしながらの就活をする人も増えてくるかもしれません。
※もし企業から内定をもらっているものの、就活留年を決めた場合は、内定企業へ早めの連絡をしておきましょう。
就活留年時の過ごし方
就活留年することが確定し、もう一年猶予ができたとはいえ、悠長なことはいってられません。当たり前ですが、就活留年は「遊ぶための時間ではない」ということを肝に銘じておきましょう。
採用通知が貰えずに就活留年しているのなら、エントリーシートや履歴書の見直し、徹底した自己分析、面接の練習など、反復して行いましょう。
希望する業界へ就職できず、就活留年を選択した人は、その業界で有利になり得る資格の取得や体験をしておくことをおすすめします。
また、もう一年間(ないし半年間)大学に在学する。ということは、経済的負担を自身、あるいは自身の両親等に課す。ということです。就活留年中の最大の目的は、「就職を勝ち取ること」ですが、もし時間的に余裕があれば、アルバイトなどをしておくのも良いでしょう。
文/高沢タケル