カネカの男性社員が育休取得後、転勤を迫られる事例など、男性の育休への関心が高まっている。だが、男性育休取得100%をうたう企業でも、内実は1週間など有給休暇と変わらない事例も多い。そんな中、アクセンチュアでは男女とも、最長子供が 2歳に達するまで育休が取得できることが分かった。同社の男性社員で、過去に4ヵ月の育休を取得したデジタルコンサルティング本部シニア・マネジャーの角南聡一(すなみそういち)さんにお話を伺った。
育休を取得してもキャリア上の不安は無かった!
――どんなお仕事をされているのですか?
ビッグデータを分析・活用したクライアントの業務改善、システム導入に関わるコンサルティングをしています。
――家族構成を教えてください。
ワーキングウーマンの妻と、5歳の娘、2歳の息子です。
――育休を取得したのはいつですか?
2017年の7月1日~10月31日までです。
――育児休暇を取得しようと思ったのはなぜですか?
プロジェクト単位で仕事しているのですが、1つのプロジェクトが終わった段階で、当社のキャリアカウンセラーや妻と相談した結果、当時息子が0歳8か月だったこともあり、取得しました。
娘のときはプロジェクトの区切りがなかったため、育休取得についてはあまり考えなかったのですが、息子の時は社内でも育休を取得する男性が増えていたこともあり、自然な流れで取得しました。
息子のときは2016年11月~2017年8月まで妻が育児休暇を取得していました。2カ月間、私と共に育児をし、妻は2017年9月に仕事に復帰しました。
――育休を取得するにあたって、キャリア上の不安はありませんでしたか?
私自身特に不安はありませんでした。当時から他の社員がどんどん育休を取っていましたし、当社にとって育休は特別なことではありません。プロジェクト単位で働いていますので、仕事が区切りやすいというのもあると思います。
とはいえ、妻は私のキャリアについて不安に思うところもあったそうです。
育児はずっと気を張ってなければならない
――育休中の過ごし方を教えてください。
妻が朝、三食分の離乳食を作ってくれたので、それ以外の育児と家事です。ちょうどハイハイを始めた頃だったので、ずっと見てなければなりませんでしたし、おむつ替えや公園のお散歩などもしました。娘の保育園の送迎は妻と分担していました。
――パパ友やママ友はできましたか?
娘の保育園送迎や、息子が9月からならし保育で週1~2回保育園に通い、11月から正式に保育園に通ったのですが、そのつながりで多くのパパ友、ママ友もできました。子育てを通じて、パパ友やママ友、自分や妻の両親とのつながりの大切さを実感しました。育児は1人だけでは大変過ぎます。周りの方のサポートが必須です。
――育休を取って大変だったことを教えてください。
体はあいていても、息子が「不満を持ってないか」「お腹は空いてないか」「ウンチはしてないか」常に意識していなければなりません。気をずっと張っていました。知人に「育休を取る」と話したところ、「せっかくだから勉強したら?」と言われたのですが、それどころではありませんでした。
ストレスに感じることもありましたが、夜から朝にかけて妻と「今日はこんなことがあった」「今日はこういうことがあって大変だった」と、子育てについて話し合いました。また、大変なときは両親に来てもらいました。妻と話すこと、そして両親に来てもらうこと、子供が寝た後にジョギングに行くことなどがストレス解消になりました。
――育休を取って良かったことを教えてください。
家庭においては、子育ての大変さと喜びを身をもって体験したことで、夫婦二人で、また必要な助けを得ながら子育てをしていくのだ、との責任と絆を実感できたことは大きいです。1人では乗り切れないです。
また、仕事の面では、育休から復帰してから、他のチームメンバーが家庭やキャリアなど何を大切にしているのか考えが及ぶようになりました。一人ひとりの多様性を意識し、介護や子育てをしている人を含めて、それぞれの背景・関心を踏まえたうえで、それぞれが力を発揮できるチーム作りを心掛けるようになりました。
家庭を大切にしながら仕事で成果を出すにはどうしたら良いか考える大切な期間だったと思います。