内科医師/におい専門家 桐村里紗先生からのコメント
■自分の口臭には、気づきにくいというのは本当?
自分の家のニオイは分からないのに、他人の家のニオイには気づく、という 経験をしたことがあると思います。これは「順化」と言われる嗅覚の慣れの現 象です。
元々、嗅覚は野生動物において、敵の存在を知らせる危機察知の能力 と直結しています。その結果、日常的に嗅いでいるニオイについては「安全」 なニオイとしてあまり感じないようにするとともに、日常ではないニオイを感じやすくしています。
その為、ケア不足で慢性的な口臭の持ち主ほど、24時間嗅いでいるうちに 「順化」してしまい自分のニオイに気付きにくくなってしまうと考えられます。
■歯垢除去率について
「歯磨きだけしていればOK」と思いがちですが、実は、歯磨きだけでは歯 垢の除去率は61%で、約39%の歯垢を放置していることになります。
更に、 デンタルフロスを併用しても除去率は79%、歯間ブラシを併用しても85%と 15~20%くらいの歯垢が残ってしまうという調査結果があります。特に、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットは、歯垢が残りがちです。
歯周ポケットまでケア するためには、歯ぐきを傷つけずに汚れを水流で洗い流すことができる「口腔 洗浄機」が有効です。
■歯周ポケットケアの重要性について
目に見えない歯周ポケットの奥深くにまで進展した歯垢(歯縁下プラーク)の中には、口臭の原因になる歯 周病菌が増えています。
食べ物や剥がれた口の細胞、また赤血球などの血液成分をエサに歯周病菌が増えると、 「ザリガニ臭」や「ドブ臭」とも巷で称される悪臭を発生させてしまいます。
さらに、歯ぐきが腫れて炎症を起こし、出血が起こると、血液成分をエサに、歯周病菌が繁殖します。それ らは、簡単に血管の中に入り込み、全身を巡り「歯周病性菌血症」を引き起こし、動脈硬化などの全身疾患の 原因にもなります。
口臭対策は、他人に不快感を与えないように配慮するというエチケット的な観点だけでなく、自分の健康状 態を維持するヘルスケア的観点としても重要です。
日常のケアで、目に見えない磨き残しもしっかりと洗い流 しましょう。最終仕上げとしては、定期的に歯科でのクリーニングを受けることが必要です。トラブルが起きてからでは遅い為、定期的に歯科検診やクリーニングへ行く習慣を持つことも必要です。
<桐村 里紗>
内科医。新しいライフスタイル 創造のためのヘルスケア情報発信している。ニオイ評論家としても多数メディアに出演。 著書に『日本人はなぜ臭いと言 われるのか~口臭と体臭の化 学』(光文社新書)など
<調査概要>
調査期間:2019/4/26-2019/4/29
調査対象:全国20代、30代、40代、50代、各年代の男性50人/女性50人 総計400人
調査方法:インターネット調査
出典元:パナソニック株式会社
構成/こじへい