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ファーウェイを貿易交渉のカードとして使うには大きすぎるその代償

2019.06.06

排除の動きの背後に見え隠れする圧力

 一連のファーウェイ排除の動きについて、さまざまな企業や団体が積極的に排除する方向で動いているのかというと、必ずしもそうでもないように見える。

 ここに挙げたファーウェイ排除の動きを明らかにした企業や団体などのコメントを見ると、あくまでも米商務省の規制対象になったため、それに従ったというニュアンスで答えている。つまり、実際にそれぞれの企業や団体が積極的に取引を停止したような状況ではなく、突然、米商務省の規制が伝えられ、何をすると問題なのかを確認しながら、対応を検討し、発表している。しかもいくつかの企業や団体は、今回の規制について、「解決を期待する」(英ARM)、「影響を検討している」(Google)と答えるなど、状況の改善への期待を示したり、対応を模索しているような声も聞かれる。

 こうした声が伝わってくる背景には、今回の制裁措置が関係する企業や団体、個人にとって、必ずしも好ましいものではないと考えていたり、対応に苦慮していることうかがえる。たとえば、スマートフォンやタブレットに搭載するAndroidプラットフォームの場合、Googleが単独で開発しているように考えられがちだが、実は世界中の端末メーカーやソフトウェアベンダー、団体、個人などが関わり、開発が進められている。端末メーカーやソフトウェアベンダーからプラットフォームの改良や新機能などに必要な技術や情報が提供されることも多く、ファーウェイもAndroidプラットフォームの開発に大きく貢献してきた実績がある。Googleを中心としたAndroidプラットフォームに携わる技術者や企業にとっては、ファーウェイを排除することで、失うものがあることをわかっているからこそ、含みを持たせたコメントをしているわけだ。同じ姿勢は英ARMのコメントなどからもうかがうことができる。

 また、前述のように、ファーウェイとの取引停止に伴い、米国外のみならず、米国や欧州の企業、日本企業なども業績面で大きな影響を受ける可能性があり、「経済面でのリスクは予想以上に大きい」と指摘する声もある。スマートフォンなどに限った話ではないが、今やひとつの製品、ひとつのサービスは、一国ですべてを作り上げられるものではなく、スマートフォンのような数多くの部品で構成される製品は、世界各国の企業の技術や部品を使って製造される。そのため、ひとつの国を制限したつもりが、その影響は予想以上に大きくなってしまうことが考えられる。トランプ大統領としては、米中貿易摩擦の交渉カードとして、ファーウェイ排除を打ち出したのに、米国経済に加え、欧州や日本など、同盟国の経済まで悪化するような事態になっては、元も子もないはずだ。

一体この問題の着地点はどこにあるのか? 第三回ではアメリカなどが主張する安全保障上のリスクと、ユーザーとしてどうすべきかを解説していく。

取材・文/法林岳之
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

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