続けて、修理を出さなかったと回答した人を対象にその理由を尋ねる調査が行われたところ、日本(n=295)では、「修理に出すのが面倒だったから」が35.6%と最も多く、次いで「修理しなくても使えそうだったから」が34.6%、「修理費用が高額になりそうだったから」が31.2%となった。
一方アメリカ(n=252)では「修理しなくても使えそうだったから」が 50.4%と最も多く、次いで「修理費用が高額になりそうだったから」が38.5%、「修理に出すのが面倒だったから」が 31.3%となった。
■モバイル研究家・木暮祐一氏からのコメント
スマートフォン(以下、スマホ)の下取りサービス等の利用意向は高い。ただし、過去に下取りに出したり買取してもらったことの経験がある人は、引き続き利用意向がかなり高いが、端末を自宅に保管する人は下取りサービス等への利用意向が高くない。
たとえば旧端末を家族が利用するとか、サブ端末として生かすなど端末の利用予定があるのならば良いが、ただ保管しているだけなら端末は価値のあるうちの処分したほうが良い。スマホも自動車のように中古流通が当たり前になっていく。
これまでは新品スマートフォンが様々な割引施策によって安価に購入できたために中古端末市場が限定的だったが、今後の販売施策見直しによって中古端末流通は確立されていく。買い替えの際には、価値のあるうちに旧端末を下取りしてもらうことが一般に浸透していくはずである。
一方、中古端末市場の広がりに欠かせないことが、端末の修理体制の確立である。修理をめぐる信頼性の確保が求められるほか、修理費用を補償する保険サービスの拡充も求められるだろう。
スマホの故障や破損などに対する補償サービスは通信キャリアが提供するものに加入することが基本であったが、それらサービスは至れり尽くせりであったとしても、毎月の補償料は高価である。通信キャリアが提供する補償サービス以外の保険ビジネスなどの広がりも考えられそうだ。
モバイル研究家 木暮 祐一
1967年、東京都生まれ。黎明期からの携帯電話業界動向をウォッチし、2000年に(株)アスキーにて携帯電話情報サイト『携帯 24』を立ち上げ同 Web 編集長。コンテンツ業界を経て 2004 年独立。2007 年、「携帯電話の遠隔医療応用に関する研究」に携わり徳島大学大学院工学研究科を修了、博士(工学)。スマートフォンの医療・ヘルスケア分野への応用をはじめ、ICT の地域社会での活用に関わる研究に従事。モバイル学会理事/副会長、ITヘルスケア学会理事。近著に『メディア技術史』(共著、北樹出版)など。1000台を超えるケータイのコレクションも保有している。
<調査概要>
【第2弾】2019年日本とアメリカにおけるスマートフォン中古端末市場調査
・ 調査期間:2019年3月22日~4月9日
・ 調査方法:インターネット調査
・ 設問数 :25問(今回調査した全 2回分の設問)
<日本>
・ 有効回答:1,010人
・ 日本調査対象:15歳から69歳の男女
<アメリカ>
・ 本調査有効回答:1,111人
・ 本調査対象:15歳から69歳の男女
出典元:MMDLabo株式会社
構成/こじへい