パフォーマンスは2年前のハイエンド相当、日本版はおサイフケータイにも対応
カメラの解説で記載したように、2機種とも、チップセットはミドルレンジ向けのSnapdragon 670を搭載しており、メモリ(RAM)は4GBだ。このパフォーマンスはどうか。写真の処理には確かに時間がかかっていたが、ブランジングやメール、SNSアプリなどを使うぶんには、ほとんど違いは分からない。
ミドルレンジモデルの場合、キーボードが現れるまでの時間がわずかに遅かったりすることもあるが、ことPixel 3a、3a XLに関しては、そうした違いもなかった。操作感は非常にいい端末で、ソフトウェアがしっかり最適化されているのだろう。ベンチマークアプリのAnTuTu Benchmarkでスコアを計測してみたところ、総合得点は15万8467だった。パフォーマンスは、2年から3年ほど前のハイエンド端末相当といえる。
AnTuTu Benchmarkのスコアは15万点を超えた。普段使いには十分なパフォーマンスといえる
普段使いには十分なパフォーマンスだが、ほかにも、2機種には欠かせない機能が搭載されている。FeliCaがそれだ。ミドルレンジモデルの場合、特にSIMフリースマホだとおサイフケータイに非対応なことが多いが、どちらの機種もきっちり対応している点は評価できる。政府が推進していることもあり、キャッシュレスがにわかに注目を集めているが、Pixel 3a、3a XLであれば、モバイルSuicaもiDもQUICPayも利用できるというわけだ。
Pixel 3、3 XLに続き、おサイフケータイやGoogle Payに対応した
さらに、上位モデルにはない特徴もある。3.5mmのイヤホンジャックだ。iPhoneがイヤホンジャックを非搭載にして以降、Androidでもハイエンドモデルでは徐々に3.5mmのイヤホンジャックを搭載していない機種が増えているが、有線のイヤホンには、充電がいらず、サッと挿すだけですぐに音楽を聞けるという手軽さがある。ペアリングなどの手間もかからないため、非搭載端末が増えている現状に不満を感じていた人もいるはずだ。
3.5mmのイヤホンジャックを搭載しているのも、この機種ならでは
また、本体左右をギュッと握ってGoogleアシスタントを起動する「アクティブエッジ」にも対応する。音声アシスタントを街中で起動する機会はあまり多くないため、できればここに別のアプリを割り当てられるようにしてほしいところだが、カメラに写った物体やテキストを認識するGoogleレンズをスムーズに呼び出せるのは便利だ。
OSにはAndroid 9 Pieが搭載されているが、Googleが直接提供する端末なだけに、3年間のアップデートも保証されている。Android端末の場合、どこまでアップデートされるかがキャリアやメーカー次第になってしまい、しかも先々の予定があまり公開されていない。長く使おうと思ったとき、あらかじめきちんと保証がされているのはうれしいポイントといえる。
同じAndroidだが、Pixelシリーズには、Googleの最新サービスが先行配信されることもある。Pixel 3a、3a XLのタイミングに合わせて登場したのが、GoogleマップのARナビだ。ARナビとは、カメラに映し出した風景に、ナビゲーションのガイドを表示させる機能のこと。試しに使ってみたが、平面の地図を見ながら頭の中で向かう方向に置き換えるよりも、直感的にどちらに行けばいいのかが分かりやすい。土地勘があるところでは不要かもしれないが、初めて行く場所では頼りがいがある機能だ。
ここまで見てきたように、Pixel 3a、3a XLは、無駄を削ぎ落としつつ、コストを大幅にカットした端末だ。しかもそのコストダウンの仕方が非常にうまく、一見しただけではハイエンド端末との違いが分かりづらい。この価格帯の端末としては、カメラの性能がずば抜けて高い点も、評価できるポイント。端末価格を抑えたい“分離プラン時代”にピッタリの1台といえるだろう。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★
ディスプレイ性能 ★★★★
撮影性能 ★★★★★
音楽性能 ★★★★
UI ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
バッテリーもち ★★★★
持ちやすさ ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。