カメラのクオリティは上位モデルと並ぶ、処理時間には違いも
Pixel 3a、3a XLが上位モデルから落としていない機能がもう1つある。それが、背面に搭載されたメインカメラだ。Googleによると、メインカメラのモジュールはPixel 3、3 XLと同じもので、各画素に位相差センサーを搭載したデュアルピクセルに対応。画素サイズも1.4μメートルと大きく、光を多く取り込めるため、暗所での性能が高い。
さらに、Pixel 3、3 XLが売りとしていたAIを駆使したカメラ機能も、すべて取り込まれている。複数枚の写真を撮ってベストな1枚を端末側から提案する「トップショット」や、複数枚の写真を合成したうえでAIによる補正を加えて夜景を明るく見せる「夜景モード」にも対応。シングルカメラながら、背景だけをキレイにボカすポートレートモードも利用できる。
では、実際の画質はどうか。まず、Pixelの実力が出やすい夜景を撮ってみたが、確かにノイズが少なく、キレイに写る。同じシーンで夜景モードも試してみたが、目で見る以上に明るい写真が撮れた。ネオンや街頭である程度の光量が確保されている場所であれば、あえて夜景モードにする必要はないのかもしれない。逆に、夜、電気が消えた暗いビルまでしっかり捉えられているのは、夜景モードならではといえるだろう。
夜景モードで撮った写真。普段だと潰れてしまうようなところまで、しっかり描写
光量が多いときは、通常モードで撮った方がキレイと感じる人もいるだろう
ポートレートモードの精度も高い。一眼レフのレンズでできるボケと比べるとやや不自然で、境界をはっきりボカしすぎているきらいはあるものの、シングルカメラで撮ったとは思えないほどのクオリティ。Pixel 3で撮ったポートレートモードとほぼ同等の結果を得ることができた。確かにGoogleがうたっていたとおり、画質は上位モデルと同等だ。
ポートレートモードは、人物をしっかり認識して境界の処理もキレイだ
一方で、Pixel 3a、3a XLには、画像処理に特化したプロセッサである「Pixel Visual Core」が搭載されていない。また、チップセットもSnapdragon 845からSnapdragon 670にグレードダウンしている。そのためか、撮ったあとすぐに写真を開くと、バックグラウンドで写真を処理している途中ということが多々あった。しばらく放置しておけば写真が完成するため、何枚か撮っておいて後で確認するぶんにはあまり気にならないが、どんな写真に仕上がっているのかをその場で確認したあと、撮り直すかどうかを決めるときに、少々まどろっこしさを感じる。
特にPixel 3a、3a XLの場合、写真の品質を左右するのがAIによる加工だ。そのため、処理が終わったあとの写真を見てみたいというニーズが、ほかの端末より高い。この点は上位モデルとの大きな違いといえるだろう。ただし、あくまでPixel 3a、3a XLはミドルレンジ端末だ。このクラスの端末で、十分な画質を得ようと思ったとき、時間がトレードオフになるのは、仕方がない点と割り切ることはできる。
撮影後、バックグラウンドで写真が処理されている。この時間が上位モデルよりかかる
同じく割り切りが必要になるのが、インカメラだ。上位モデルのPixel 3、3 XLが広角と通常で画角を切り替えられるデュアルカメラだったのに対し、Pixel 3a、3a XLはシングルカメラになっている。上位モデルの通常カメラよりやや広角に撮れる仕様で、標準と広角の間を取ったのがPixel 3a、3a XLのインカメラといえるだろう。ミドルレンジモデルのため、あまり多くを求めるべきではないが、グループでセルフィーを撮る人には、やや不満が残るかもしれない。