短くわかりやすく話せるようになるには?
では、Sさんのように話が長くてわかりにくい人が、話を短くわかりやすく伝えられるようになるには、どうすれば良いのか。直し方を教えてもらった。
「まずはじめに、自分の話が長くわかりにくくなっていることに、しっかり気付く必要があります。そのためには、一度自分が話している声を録音してみることをおすすめします。癖を知るために、あえて原稿を作らず、何も用意しない状態で自己紹介をしてみて、それを録音する、などがいいですね。
長いな、わかりにくいなと思うことがあったら、以下のポイントを心がけ、意識的に練習してみると、だんだん改善されていきます」
1.結論を先に言う
「結論を先に言うことで、話の方向性が決まり、話の軸がブレにくくなります」
2.一呼吸置く
「最初の一声を発する前に、ほんの少しでいいので間を開けるようにすることで、焦って言葉を連発することを防ぎます」
3.意識的に区切る
「『、』ではなく『。』で話すことを心がけることで、一文を短くしていくことができます。例えば道案内をするときでも、『まっすぐ行って、突き当たりを左、そのまま進むとコンビニがあるので、その先の角を右に曲がってください』ではなく、『まずまっすぐ行って下さい。突き当たりを左に曲がります。そのまま進むとコンビニがあります。その先の角を右に曲がってください』のほうがずっと覚えやすく、わかりやすくなります」
4.ゆっくり話す
「相手にとって聞きやすいスピードというのは、自分が思っている以上にゆっくりであったりします。自分では『これではちょっと遅いかな』と思うくらいのスピードで大丈夫です」
5.子どもと話す
「子どもに話しかけるとき、人は自然に目線を下げ、わかりやすい言葉を選んで、区切ってゆっくり話しているものです。その意識を身体に覚えさせるために、あえて子どもと話してみるのも良いトレーニングになります」
6.新聞を音読してみる
「新聞は狭いスペースの中で事実を間違いなく伝えることを求められるツールです。短くまとめられた言葉がシンプルに並んでいますので、それを音読してみると、どこをどう伝えるかということが身体で理解できていきます」
話を短くわかりやすくするためのポイントは「短文でゆっくり話す」
最後に、話を短くわかりやすくするためのポイントを山本さんに教えてもらった。6つの方法と共に押さえておこう。
「何も意識していないと、話はどんどん長くなるものです。しっかりと意識を持って、自分の声を自分でもちゃんと聞くようにしましょう。とにかく、まずは“短文でゆっくり話す”この意識を持つだけでも、わかりやすさはかなり変わってきます」
【取材協力】
山本 衣奈子さん
玉川大学文学部芸術学科卒業。3年時、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ演劇科へ留学。帰国後、「声」のプロとして活動を開始。企業VP、ラジオ番組のナレーターとして参画。様々な起業経験を経て、2004年よりプレゼンテーション・プロデューサーとして活躍。
http://www.e-comworks.co.jp/
取材・文/石原亜香利