ビジネスパーソンにとって、わかりやすく端的な話し方はかなり重要。それはわかってはいるのだが、なかなかうまくいかない、と悩む入社3年目の会社員Sさん。彼はよく、「ダラダラと話しているだけで、何が言いたいのかわからない」と人から指摘されるそうだ。どうすればその話し方が直るのか、原因と対策をプレゼンテーション・プロデューサーの山本衣奈子さんに聞いた。
なぜ話は短くわかりやすいほうがいいのか?
そもそも、なぜ話は短くわかりやすいほうがいいといわれるのか。山本さんに聞いてみた。
「わかりやすい話し方が必要な理由はただ一つ、“わかりにくいと相手に伝わらない”からです。話をするときは、たとえそれが話すのではなく書くのであっても、その先には必ず相手がいるはずです。その相手に向けて話すことが、『伝える』ということですから、相手が内容を理解できなければコミュニケーションは成り立ちません。大事なのは、“自分が話しやすいかどうか”ではなく、“相手が理解できるかどうか”なのです。
そして、人が一度に理解できる言葉の量には限度があります。一気に言われても、本当に頭に残るのはその一部分でしょう。
数字に置き換えるとわかりやすいかもしれません。例えば、『1546237958245612』と一度に言われても、せいぜい最初の数桁しか覚えられないものです。でも、『1546、2379、5824、5612』と区切ってもらえると、覚えやすく頭に残りやすくなります。
自分の言っていることをしっかり相手の頭に残してもらうためにも、伝えるときには、短くわかりやすいことがとても大切です」
野球のピッチャーを見よ!話が長くてわかりにくい原因は?
では、話が長くてわかりにくいと指摘されるようなSさんのような人は、何が原因と考えられるだろうか? 山本さんは主に二つの原因を挙げる。
●自分で何が言いたいのかわかっていない
「話が長い人の特徴としてまず、“そもそも何を言いたいのかわかっていない”という点が挙げられます。『考えながら話す』というより、『話しながら考える」状態になっているので、思いつくままダラダラと長い話になりやすいのです」
●相手のことを見ていない
「“相手のことを見ていない”ということも原因として挙げられます。意識が“相手”ではなく“自分”に向いているので、相手の反応に気付かず、一方的に話し続けていきます。
野球のピッチャーをイメージしてみてください。ピッチャーは投げる前に必ず姿勢を整え、どこに投げるかを明確にイメージします。そして、バッターとキャッチャーのことをしっかり見て、力強いボールを放っていきます。
同じことが、伝える側にも必要なのです。相手からわかりにくいと言われるということは、意識においても姿勢においても、定まっていない、つまり『誰に何を伝えるか』の土台ができていないということが理由として考えられます」