ロジカルに話せるようになるには?
「ロジカルに話す」ことは、今、どんな人でも多かれ少なかれ求められているといえそうだ。これまでロジカルに話すのが苦手だった人がロジカルに話せるようになるにはどうすれば良いだろうか?
「一度、ロジカルに話すテクニックを覚えてしまえば、誰でも、どんな話でもロジカルに話すことができるようになります。KEE’Sでは、ロジカルシンキングで用いられる『ロジックツリー』をベースにした、誰でもロジカルに話をまとめることができる『魔法のシート』を用いて、ロジカルな話し方をトレーニングします」
●魔法のシートの使い方
1.「結論」を最上段に記入する。
2.「理由」、「話のポイント」などを次の段に記入する。
3.「理由」、「話のポイント」の詳細ボックスに、さらに付け加えたい要素を記入する。
4. 話すときは、ボックスの上から下へ話していく。
「この魔法のシートを使う方法のメリットは、結論を最初に伝えられること、根拠となる理由が明確であること、同じ話を繰り返さないこと、短時間でテンポ良く話せることなどがあります」
魔法のシートは、報告やフリートークで使うことができるそうだ。
【例】業務報告
『昨日、お客様からクレームが1件ありました(結論)。クレームの内容と対処法の2点をお伝えします(理由・話のポイント)。……』
【例】フリートーク
『私の趣味は写真です(結論)。写真の魅力は2点あります(理由・話のポイント)。……』
「突然振られたスピーチでも、この順序で話すことを覚えておくと、後は要素をはめ込みながら話すだけで、まとまった話ができるようになるでしょう。また、一字一句原稿を書くのではなく、メモとして『魔法のシート』を持つことで、原稿に目線を落とし、“ただ読んでいるだけ”のスピーチから脱却することもできます」
ロジカルに話すポイント4つ
野村さんによると、ロジカルに話す際には、心がけたい点がいくつかあるという。これも押さえておこう。
●「結論」は吟味して、一言で
「ロジカルに話すことのねらいは、短時間で自分の本意を伝えることです。まずは冒頭に、短い言葉で、自分の意図が伝わるように十分に言葉を選んで、結論を一言で言いましょう」
●「理由」は主観と客観的データを両方入れる
「理由は、主観だけでも客観的な要素だけでも不十分です。自分の思いを伝える主観と、それを裏付ける客観的データの両方を入れましょう。主観と客観の2本立てで、説得力を持たせることができます」
●すべてを話そうと思わない
「思ったこと、調べたことをすべて話したいと思っても、聞き手にとっては情報過多のことも多いので、すべてを話そうと思わないようにすることもポイント。言いたいことは『腹八分目』くらいがちょうどいいのです」
●ロジカルに話す時の口調は、やわらかく、おだやかに
「ロジカルな話し方は、早口でハキハキ話しすぎると、『きつい』『事務的』といった印象を持たれることがありますので、間をとってゆっくり、やわらかく、おだやかな口調で話すこともポイントです」
【取材協力】
野村絵理奈さん
株式会社 KEE’S代表取締役社長
兵庫県出身 同志社大学法学部卒業。NHK松山放送局キャスター、気象予報士を経て2005年KEE’S設立。元放送局アナウンサーで、現在もフリーアナウンサーとしてテレビやラジオで活動している講師(約30名)が在籍し、放送局で培った技術と経験を元に、企業研修を行っている。2005年から2015年までの実績では、企業研修約300社、3万人以上が受講。著書に、『世界一の美女になる話し方』(ポプラ社)『5000人を変えた!話し方の新・習慣77』(ポプラ社9などがある。
話し方教室/話し方講座 KEE’S
http://www.kees-net.com/
取材・文/石原亜香利