高速AF100-400の手持ちで撮れるソニーの超望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」の実力検証

Photograph

●単焦点レンズはいらないかもと思わせる鮮鋭な画像！

αシリーズの交換レンズで超望遠が必要なら、本機か400mm F2.8の二択になるが、400mmエフニッパチは受注生産で160万円もするレンズなので、選択肢は100-400mmのズーム、一択なのだ。それだけに気合いが入った結果、希望小売価格32万円、実勢価格約28万円と高価なレンズになった。

今回、撮影したのは善福寺川公園のカルガモの親子。以前、105mmで撮影したことがあるが、池に柵があるため撮影位置が限定され、もう少し望遠で撮りたいと思った被写体だ。コガモが泳ぐだけなので高速連写の実力を発揮するシーンがなかったのが残念。同じ池にカワセミもいるのだが、この日は見られなかった。機会があればカワセミを撮ってみたい。

撮影した画像をチェックしてみると、コントラストが高く、ヌケのいいシャープな画像で、ズームレンズで撮ったとは思えない。一昔前の望遠系ズームとは段違いのヌケの良さで16群22枚もレンズを使っているとはにわかに信じがたい程だ。『α9』との連携も完璧でAFが素早く、連写もサクサク撮れる。気になる点があるとすれば、ズーミングでAFが外れたときに、MFでリカバリーしようと思ってもAF-Cモードの場合はピントリングを回しても空回りしてしまうこと。これはAF-Cで強制MFができない仕様なので仕方がない。レンズのフォーカスホールドボタンに「押す間AF/MFコントロール」を指定すれば、素早くMFに切り換えてピントが合わせられるようになる。

全ての撮影は手持ちでおこなったが、三脚の必要性はなく、突起物である三脚座が外せるのは便利だった。AF性能の低下を考えれば、このレンズでF11以上に絞り込む必要はなく、なるべく絞り開放で使った方がいいと感じた。70-200mm F2.8とほぼ同価格帯のレンズだが、ポートレート重視でなければフルサイズに明るいレンズは不要だと私は思う。なぜなら高感度に強いのだから、絞りを開けるより感度を上げた方が効果的なのだ。望遠レンズはイヤでも背景がボケるのでF2.8でなくてもキレイなボケは得られる。どちらかを買うとすれば、純正で100-400mmを揃えて、人気の焦点距離である70-200mmはレンズ専業メーカーのエフニッパチも含めて検討してもいいのではと思った。それほど『FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS』は得難いレンズで、ソニーユーザーにしか使えない特別なレンズと言える。

池から草むらに上陸して休息するカルガモのコガモたち。400mm絞り開放で非常にシャープ。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/250sec、F5.6、ISO160、400mm

コガモを100％に切り出してみると、その鮮鋭さがよく分かる。羽毛とくちばしの質感もいい。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/250sec、F5.6、ISO160、400mm

連写撮影時に光の当たった部分に露出が合ってカモが白飛びしていないことが分かる。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/400sec、F5.6、ISO4000、180mm

土を掘り返そうとするコガモ。なかなか素早い動作だったが、連写でピタリと止まっている。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/400sec、F5.6、ISO6400、320mm

コガモの周りを警戒するオヤガモ。背景のボケが美しい。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/400sec、F5.6、ISO5000、260mm

上と同じ位置から、倍率を下げてオヤガモの周囲にいるコガモを入れた。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/250sec、F5.0、ISO2500、150mm

水面を移動するコガモ。400mm絞り開放で撮影すると少し後ろのコガモもボケてしまう。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/160sec、F5.6、ISO2500、400mm

光を浴びながら泳ぐカルガモ親子。親ガモはやや露出オーバーだが全体的には適正露出だ。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/160sec、F5.6、ISO160、330mm

水面が反射してピントが合いにくそうな構図だが、真ん中のコガモにAFが追従した。
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SONY α9 1/160sec、F5.6、ISO1000、250mm

写真・文／ゴン川野