日本学生支援機構では、奨学金の申し込みや、奨学金を貸与・給付中の人や返還中の人が様々な情報を得られる「スカラネット」と「スカラネット・パーソナル」というサービスを展開している。各種手続きをインターネット上で簡単に済ませられるため、奨学生にとっては必須のサイトだが、2種類あるため混乱する学生があとを絶たない。
この記事では、スカラネットとスカラネット・パーソナルの違いやその概要、利用方法を解説する。
また、奨学金の申し込み後に実際の給付額や返済額はいくらになるのか、奨学金制度の基礎知識を知りたい人は以下の記事もあわせてチェックしてみよう。
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日本学生支援機構の奨学金申し込みサイト「スカラネット」と「スカラネット・パーソナル」の違い
日本学生支援機構では奨学金の申し込みと、給付中や返還中の情報確認をインターネット上から行える。注意したいのは申し込み専用サイト「スカラネット」と、給付後に各種手続きや情報閲覧が行えるサイト「スカラネット・パーソナル」の2種類があることだ。
「スカラネット」は奨学金の申請時に使うホームページ。2種類の申し込みタイミングもチェック
日本学生支援機構の奨学金には「予約採用」と「在学採用」がある。どちらの採用かによって申込み時の手続きが変わるので注意したい。
スカラネットを使った奨学金申請のタイミング1:予約採用(大学進学前)
高校3年生(それに準ずる学年)の申込み時にスカラネットを利用し、その後、大学進学後に再びスカラネットで進学届を出さなければならない。このため合計2回利用する。
申込み時には学校より配布されるIDとパスワードが、進学届け時には進学先で配布されるIDとパスワードおよび採用候補者決定通知に記載されるパスワードが必要だ。
スカラネットを使った奨学金申請のタイミング2:在学採用(大学進学後・在学中)
在学採用は大学入学後の申込み時にスカラネットを利用する。申込み時には学校より配布されるIDとパスワードが必要となる。
【参考】スカラネット 公式ページ
スカラネットの登録と奨学金の申請手続きに必要なインターネット環境とは
公式サイトによると、スカラネットの利用に必要なインターネット環境は以下の通りだ。
スカラネットの利用に適したOS(オペレーティング・システム)
- Windows 10、Windows 11
- iOS 13以上、iPadOS 13以上、 Android 8.0以上
スカラネットの利用に適したブラウザ(ホームページ閲覧ソフト)
- Microsoft Edge
- Mobile Safari、 Android用モバイル版Google Chrome
スカラネットはスマホからでも奨学金の申請ができる?
上述したように、スカラネットの推奨環境は、OSはWindowsとiOS、Android、ブラウザはMicrosoft EdgeもしくはMobile Safari、Android用のモバイル版Google Chromeとなっている。
スマートフォンやタブレットからアクセスする場合、アプリはないためブラウザ(iOSおよびiPadOSはSafari、AndroidはGoogle Chrome)からの利用となる。
また、ブラウザは最新バージョンで利用するようにしたい。
奨学金の給付遅れを防ぐために、IDの紛失や書類不備などのトラブルはすぐに連絡しよう
ネットから簡単に申し込めるとはいえ、スカラネットの手順は複雑で、学生ではわからないことも多い。親でも奨学金を利用しなかった人や、ネット申し込みがなかった世代では手に負えないこともある。
手続きに不備があると、奨学金給付が取り消されなくとも最初の給付が遅れて学校生活に支障が出る。「IDやパスワードの紛失」「入力内容が理解できない」「うまくアクセスできない」といった問題が起きたら即座に学校の窓口(学務課、学生支援課、学生生活課などの名称がある)や、高校生なら担任の先生に相談して指示を仰ごう。
スカラネットの登録には入力下書き用紙が便利! 書き方や必要書類は?
スカラネットでの申込みに必要な情報は申し込む際の状況によって微妙に異なってくる。そのため事前に入力下書き用紙にしっかり記入しておくことをすすめたい。入力下書き用紙の記入内容は、ID・パスワードをはじめ、在学情報や奨学金申し込み情報、家族情報、保証人情報、そして最近提出を求められるようになったマイナンバーなどだ。
ここで注意したいのが、「住所」の書き方である。住民票に記載されている表記で正しく書くようにしたい。常用字体・適用字体で入力するという注意書きもある。例えば「髙」は「高」で入力するということを意味している。
スカラネットへの登録方法と確認しておきたい日本学生支援機構の手引き
前述したように、入力下書き用紙に沿って入力するのがスムーズだ。日本学生支援機構の公式サイトに、手順を細かく解説した「申込みの手引き」もある。予約採用と在学採用、高校・大学・高専・大学院など違いがあるが、こちらもチェックしながら入力すると失敗を減らせるだろう。
予約採用の高校生は学校が用意して事前に書かせることもあるが、大学以降は自力で行うことがほとんどだ。日本学生支援機構のサイトがよくわからない場合、自分の大学のサイトから奨学金についての項目がないかを確認し、不明な場合は大学の窓口に問い合わせてみよう。
【参考】予約採用申込みの手引き(奨学金案内) | JASSO
ウソを書くと奨学金がもらえない! スカラネットの「家庭事情情報」には何を書く?
スカラネットの入力下書き用紙にもある「家庭事情情報」には、奨学金を希望するに至った家庭の事情を記入することが想定されている。とはいえ、この欄に書けるのは200文字まで。400字詰め原稿用紙の約半分しかないので、背景事情を細かく述べると書ききれない可能性が高い。端的にまとめるといいだろう。
ここでもっとも重要なのは、決してウソを書かないこと。教育費や学費が、なぜ自分たちで十分に用意できないのか、ありのままの状況を日本学生支援機構に伝えよう。