DIME MAGAZINE
アメリカ人との会話でNGな話題
では反対に、仕事で付き合いのあるアメリカ人との会話で、NGな話題はあるのだろうか？
「冒頭でも話したようにアメリカ人は発展性のある話や、楽しい話が好きなので、無意味で発展しない話や、腹が立った話、口論になるような話は避けたほうがいいです。NGな話題のほうは明確です」
1.宗教のこと
「多民族多宗教のアメリカでは、それぞれの宗教の教えに沿った文化・ライフスタイルで生活をしているので、とても個人的でプライベートなことになるので、話題にするのはおすすめできません」
2.政治や戦争の話
「アメリカ人は、個人の権利や意思を持ち、異なる観点で政治を見ているので、口論やケンカになりやすいため、政治や戦争の話もご法度です。家族でさえケンカになることもあります」
3.収入（お金）の話
「年収がいくらだとか、仕事での売上の話、買ったものの値段など、相手のプライベートな経済事情の話になるため、避けるべきです」
4.プライベートなことや恋愛事情
「既婚か独身か、年齢はもちろん、誰かの恋愛の噂話などは、誤解を招くことにもなりますので避けましょう」
英語の使い方にも注意が必要
ところで、日本で食べたものの感想を聞くのもよいとUeharaさんは教えてくれたが、実際、「スシや納豆食べられる？」などと日本人から聞かれるのが不快に感じる外国人もいるという噂もある。これについてUeharaさんに聞いてみた。
「これはズバリ、日本の方の英語の使い方に問題があると思われます。おそらく、Can you eat sushi? と言ってしまうからです。日本語感覚でそのまま英語にしてしまうありがちなミスです。Canには色々な意味があるのですが、この聞き方ですと相手に“食べる能力があるか”、つまり口に入れて噛んだりできるか？といったことを聞いていることになるので、相手は嫌な気分になると思います。
英語では食べたり、話したりなど習慣的に行うことは、CanではなくてDoを使います。
なので、Do you like sushi? や、Do you eat sushi?のほうが、日本語で言う『お寿司は食べられますか？』に近いですね！ 日本語の言葉を直接英語にするのではなくて、自分の言いたいことの意味を英語に変換することを、おすすめします。また英語を上手く使うには、日本語を整理する必要もありますし、英語の背後にある文化も知る必要もあります」
答えに窮する質問をされたときの、上手な返し方
アメリカ人からの質問に、日本人が答えられず、リアクションに困ったというエピソードもよく聞く。そんな答えに行き詰まるような質問をされたときは、どうすればいいか。
Ueharaさんは、相手に「あなたはどう思うの？」と逆に質問してみるのを勧める。
「無理に自分のことを話そうとせず、相手に先に話してもらうと良いと思います。アメリカ人は自分の考えを持っているので、どんどん話してくれます。それに、相手の質問の意図を知ることができるので、自分も答えやすくなりますし、上手く交わすこともできると思います。
ただ、一番のおすすめは自分の意見をしっかりと言えるように、英語と相手の国の文化を学ぶことだと思います」
アメリカ人との何気ない会話で、何を話すべきか迷っているなら、ぜひヒントにしてみよう。
【取材協力】
Shinji Uehara（シンジ ウエハラ）さん
1968年生まれ、兵庫県尼崎市出身。
21歳の時に単身渡米し、移民多様化プログラムを通しグリーンカード（永住権）を取得。NYを起点に働きながらアメリカ50州を旅し、英語習得の方法をコミュニケーションの中から発見し、まったく出来なかった英語を克服する。その後、Naturalization Testを通して米国籍を取得しアメリカ人へ帰化。
2010年、子供に日本文化を体験させたく家族で再び日本へ。スキルアップトレーナーとして、職業訓練機関や大学にて講師をするかたわら、2013年オフィスBeetle1を設立し、『逆輸入アメリカ人英会話コーチ』として話すための英会話法を広める活動をしている。
http://harudai.jp/interview/teacher/detail/different-culture1.php
https://beetle1.jimdo.com/
取材・文／石原亜香利
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