RESH.の靴メンテナンスのプロ技を拝見
シューケアコーナー伊勢丹新宿店メンズ館の店長・山田和弘さんによる、RESH.で一番多い修理であるトップリフトの交換と、ハーフラバーによるソールの補強の技を見せていただいた。営業職のサラリーマンだった山田さんは、手作業が好きなことから職人に転職、当初は家具職人を目指していたそうだが、縁があって靴修理の仕事に出合い、靴修理の仕事に就いて13年、RESH.では8年のキャリアを持つ。
もともとついているトップリフトを剥がし、ソールのすり減った部分に革を足して補強、元の厚みに戻す。ソールの厚みを均一にしてからハーフラバーを貼る。かかとも同様で、減った部分を同じ素材の皮でアタッチすることで自然な仕上がりにできる。靴底がすり減った場合、かかとごと取り替える修理もできるが、こうした減った部分に革を足して補修する方法でも対応できる。
ハーフラバーはゴム、靴の土台は革なので、そのまま貼ると段差ができるため溝を掘る。この作業はメンズ、レディス問わずすべて行うとのこと。山田さんはためらうことなく一気に彫っていく。やすりの機械を使って厚みを合わせながら、均一にしていく。
ラバーを貼るときもボンドをつけすぎるとダマになってしまうため均一につける。靴用ボンドの特性からドライヤーで乾燥させてから貼る。今回のかかとのラバーは7mmで、はみ出たところをカットし、機械を使って表面をなめらかに仕上げる。機械はやすりと毛、布もある。ワックスを使い、目を詰めて均等に表面をならして光沢を出す。
「コバ」と呼ばれる靴の側面部分を削って平坦にしてから、専用のコバインクで黒く塗って仕上げる。コバインクは靴の色に合わせて何色もある。さらにかかとに「ウィール」という模様がついている場合は、原状回復するために同じ模様をつける。ピザカッターのような車輪がついている道具で模様をつけて忠実に再現する。今回の修理は1足分30分程度で、即日修理が可能だ。
ゴムを貼ることに抵抗がある人には同じ方法でハーフレザーを貼ることもできる。つま先だけの補強もある。靴修理では最も工程が多く難易度の高い、ソールをすべて交換するオールソール修理は2~3週間ほど、縫う作業が必要なミシン修理、クリーニングは1週間ほどかかる。つま先などの靴表面の傷補修は、細かいペーパーで表面を平坦にして染料や顔料を使って色を入れていく。
「傷がついた、破れた、カビが生えたときなど、捨てる前に持ち込んでもらえれば、できる限りの相談に応じます。カビの場合は、表面上はきれいになっても革の奥にカビが残っている場合もあるので、丸洗いをして今後カビが生えないような状態にできるだけ調えます。
靴は形も素材も違うので知識もおのずと必要となりますが、RESH.のスタッフは靴の修理が好きな人ばかりなので、難しい修理ほど楽しくてやりがいを感じています。おそらく私以外のスタッフも苦労したという思いは無いのでは。靴修理には、靴を作る靴職人とは違う感覚や技能が必要で、元の状態、新品のときの状態に最大限近付けるということを常に目指しています」(山田さん)