どのような種類のスタートアップが多いのか?
FacebookやGoogleのようにIT系のベンチャーが多いのがシリコンバレーの特徴だが、ボストンではヘルス・バイオ系のベンチャーが多いことが特徴だ。
ボストンには武田製薬をはじめとして、大手製薬会社の研究所が数多く存在していることもあり、バイオ・ヘルス系のスタートアップが目立つ。ハーバードやMITなどの大学生が始めたベンチャーも多く存在している。ボストンで設立されたスタートアップ起業をいくつか紹介しよう。
1.Buoy
Photo: https://www.buoyhealth.com/
ハーバード大学の「i-lab」で結成された「Buoy」は、人工知能、機械学習、および独自のデータを活用することで、ユーザーが自分の症状をリアルタイムで正確に分析できるようにする「Buoy」というチェッカーを提供している。
2018年8月には、エンジニアリングおよびマーケティングチームを成長させるため、約670万ドルの資金を投入している。
2.Aavia
Photo: https://www.aavia.io/
MITの卒業生である2人の女性によって2017年に設立された「Aavia」は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたスマートな避妊ケースを製造している。
ケースをアプリと同期することで、月経の周期に合わせてプッシュ通知を送信し、避妊している女性に対してピルを服用する促すシステムである。
3.connectRN
Photo: https://connectrn.com/?utm_source=BuiltinBoston
「connectRN」は、看護師が余暇時間にシフトを探せるプラットフォームを提供している。これにより、看護師は収入を増やすことができ、病院は人材不足の時に人を探すコストとお金を節約することができる。
2018年5月に、製品のアップグレードと人材派遣会社とのパートナーシップの拡大のために250万ドル以上の資金を調達した。
日本でスタートアップを増やすためには
「日本ではベンチャーが生まれにくい。日本人には起業家精神が不足している。」という声は昔からよく聞く。
実際にボストンの学生や起業家と話してみて私が感じたことは、ボストンの研究者達は日本と比較して、積極的にビジネス界に飛び込んで行っているということ。
前述の通りボストンの教授はアカデミーのプロフェッショナルと同時にビジネスのプロフェッショナルでもある。研究者だからといって研究室に閉じこもっているのではなく、積極的にビジネスマンが集う場所に行き、自分のテクノロジーや製品を企業に売り込んでいっている。
また、日本の研究者は「金儲け=悪」というような考えがあるため、自分たちの研究をマネタイズ化させることに抵抗を持っているようなイメージを受ける。しかし、研究を実社会で活用させることは金儲けではなく、人助けである。
高いテクノロジーを持っている日本の研究者たち。そのテクノロジーを単なる研究で終わらせるのではなく、自分たちの研究がどのように実社会に役立つかを企業にPRし、コラボレーションさせていくことが必要なのかもしれない。
文/小松佐保(Foody Style代表)
一橋大学経済学部卒業。日本&シンガポールのブランドコンサルに勤務した後、食領域に特化したマーケティングコンサルとして独立し、アメリカ・ボストンへ。
会社員時代に生活習慣の乱れが原因で体調を崩したこと、ボストニアンの心身共にヘルシーなライフスタイルに感化されたことで、「食×健康」に関心を抱くように。
現在は、ニューヨークの世界最大の栄養学校Institute for Integrative Nutritionでホリスティックヘルスを学びながら、食生活やライフスタイルを改善するための情報発信やイベント開催などを行っている。