遠目には、完全にフルサイズのモタードマシンに見える。そして近付いても、本格的モタードマシンという印象は変わらない。シャープなフォルムは簡単に言ってカッコよく、ほぼフラットな形状の高いシートがスパルタンな走りを予感させる。
シャープなシュラウド、凝った造形のヘッドライトまわりなど、デザイン性の高さはさすがイタリアンブランド。小排気量車でも手抜きは感じられない
体を動かしやすいフラット形状のシートは高さ880mmとかなりのものだが、スリムかつサスペンションがソフトで沈み込むので身長171cmのテスターでも足着き性はまずまず。軽いのでグラついても怖くない
タンデムグリップとしてシート下に設けられた隙間。ソロでも、バイクを降りての押し引きの際などなかなか便利に使える
本格的なルックスとは裏腹に、アプリリアSX125はその名の通り125cc(正確には124.2cc)のエンジンを搭載。いわゆる原付2種にあたり、小型二輪免許で乗ることができるのだ。
「アプリリアの125cc」と聞けば、世界グランプリファンならRS125Rを思い浮かべるかもしれない。1994年と1998年に坂田和人選手が世界タイトルを獲得した、あのマシンだ。バレンティーノ・ロッシも1997年にRS125Rで125ccクラスチャンピオンになっている。
が、RS125Rは2ストロークエンジン、SX125は4ストロークエンジン。しかもGPマシンと公道用モタードマシンでは比較対象にすらならないが、あえて言うなら「マジ」という点が共通している。
SX125の装備はマジなのだ。4スト単気筒エンジンは15psだが、しっかりと高回転型。僭越ながら「いっちょまえに」と言わせてもらうが、いっちょまえに伸びやかな加速フィールが味わえて、かなり楽しい。スペック上、最高出力は1万700rpmで発生しているのだが、タコメーターがなく回転数を視認できないのが惜しまれる。
4ストローク水冷単気筒エンジンはDOHC4バルブ。15psの最高出力を1万700rpmで発生する高回転型だ。ダブルクレードルフレームはスチール製
伸びやかな加速“フィール”、と述べている点に注目いただきたい。そりゃあ、実質的な加速力は15psなりだ。「凄まじく速い」なんて言えばウソになる。あくまでも手の内にある加速だ。
でも僕としては、フィーリングさえ楽しめれば実際の速さが伴わなくても一向に構わないと思っている。レースじゃないんだから、感覚的に気持ちよければそれでいい。そういった意味で、常識的な範囲で気持ちいいライディングを楽しませてくれるSX125のエンジンは、かなりデキがいいと言える。