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私たちが普段何気なく使っている携帯電話。中でも利用率の高いスマートフォンは、電話ができるのはもちろん、インターネットを高速で閲覧できたり、色々なゲームを楽しめたり、その使用用途は多岐に渡ります。
それら携帯電話の通信のインフラの基幹になっているのが、ビルの屋上などに建てられている「携帯電話基地局」というアンテナです。
今回はそんな携帯電話など、移動体通信の利用を可能としている基地局の知られざる秘密を紹介します。
【参照】20年で20倍に!スマホとPCの普及率がどこまで伸びたか調べてみた
携帯電話の通信を可能としている基地局
私たちが携帯電話で不自由なく通話・通信ができているのは、携帯電話基地局があるためです。この項目では携帯電話基地局の仕組みなどを解説します。
通信の構造と携帯電話基地局の基本的な仕組み
あなた(A)が北海道から沖縄の友人(B)に電話を掛けるとします。この時、あなたの携帯電話から電波が飛び、一番近くの基地局がその電波を受信します。
受信された電波は有線ケーブルを介し、様々な通信設備を経て、友人(B)の携帯電話に最も近い基地局まで運ばれ、友人(B)の携帯電話に向けて電波を発信します。
友人(B)の携帯電話がその電波を受信し、通話が可能となるのです。
そもそも電波って何?
電界と磁界が互いに影響し合いながら空間を伝わっていく電磁波。これが「電波」です。そして電磁波が1秒間に振動する回数を「周波数」といい、「周波数300万MHz以下の電磁波が電波」と定められています。
携帯電話基地局アンテナを設置する場所は? 設置料はいくらくらい?
携帯電話基地局を設置するのは主に通信キャリアと呼ばれる、MNO(移動体通信業者))のドコモ、KDDI、ソフトバンクと楽天モバイルですが、設置にあたっては場所の確保が必要となります。
あなたがもしビルや山林などの不動産所有者であった場合、MNO各社から設置のオファーが来るかもしれません。
設置料はアンテナのサイズ、土地の条件などに左右されますし、また、明確な賃借料も公表されていませんが、月額3~20万円あたりが想定されるようです。
あなたの近くの携帯電話基地局の場所はどこ?基地局マップ
基地局がどこに設置されているかは公表されていませんが、地域ごとにどれくらいの基地局が建てられているのか、総務省の電波利用ホームページから確認することができます。
※上図は都内にある3.5GHz帯の基地局数を地域別に表したもの
基地局のアンテナは見分けられる?
基地局は基本的に鉄塔、ビルの屋上、山の中などに見られ、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなどの携帯キャリアが主に設置しています。
では各社のアンテナや鉄塔を見分けることはできるのでしょうか?
実際、見分けることはかなり難しいようです。もし住んでいる地域や職場の近くに、使用している通信キャリアの基地局があるかどうか調べたい時は、各キャリアの通信エリアマップを確認してみると良いでしょう。
【参照】ドコモ
携帯電話基地局アンテナの種類
基地局のアンテナは4種類が主なタイプとされています。
都市部のビル群に多く見られるのが「ビル設置タイプ」、山間部や広い範囲をカバーしたい時に用いられるのが「鉄塔タイプ」、鉄塔タイプとビル設置タイプの建設が難しい住宅街などをカバーするのが「小型基地局」、さらに小型基地局の設置も難しい地下街などには「屋内基地局」が使われています。
【参照】総務省 携帯電話基地局偏
携帯電話基地局の数
総務省が発表したデータによると、基地局数(3G、4G、5G、高度化BWA)は、全国で約121万7011基になります。
【参照】「令和5年度 携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の調査結果の概要」
携帯電話基地局のシェア
上記「携帯電話基地局の数」で紹介した図の通り、基地局数のシェア1位はドコモで、合計34万1900基でした。
以下、上記「携帯電話基地局の数」を参照にしたシェアランキングです。
1位 ドコモ 34.9% 42万4858基
2位 ソフトバンク 28.9% 35万1907基
3位 KDDI(UQモバイル含む) 24.0% 29万2588基
4位 楽天モバイル 6.7% 8万1360基
5位 Wireless City Planning 5.4% 6万6298基
携帯電話基地局数の推移
携帯電話基地局が増えれば増えるだけ、私たちの通信はより広範囲に、より便利になっていきます。
各キャリアとも5G通信の進展に伴い、基地局数を増やしています。
携帯電話基地局に関わる仕事
この項目ではドコモやKDDIといった通信キャリアの受託会社として、基地局の建設・運営・保守に携わっている企業や仕事内容を紹介します。
携帯電話基地局を作っているメーカーは?
日本国内の基地局を製造するメーカーは、富士通、NEC、サムスン電子(韓国)、エリクソン(スウェーデン)、ノキア(フィンランド)が中心 です。
携帯電話基地局での仕事内容
携帯電話基地局はまず設置場所の選定から始まります。選定には現状のセル(基地局から電波が届く範囲)の解析などを行います。
セルがカバーできていない範囲があれば、その周辺で設置に適した場所を探します。
設置に適した場所を見つけたら、次は置局交渉に入ります。交渉相手はビルの所有者であったり、山の管理人であったり、様々です。交渉が成立したら建設に移ります。
無事建設が終了したら保守・点検作業を行います。そして現状セルの解析を進め、カバーできていないエリアが判明次第、次の設置場所の選定に入ります。
以上を繰り返し行うことで、情報インフラの有効性は保たれ、私たちが快適に携帯電話を使えるようになるのです。