家族の協力も不可欠
回復期リハビリテーション病棟に入院するためには、家族の協力が不可欠です。病気やケガで急性期病院に入っている間から、家族が担当医やソーシャルワーカーに対し「一段落したら、リハビリのしっかりできる病院に転院させたい」との意思表示をすることが大切です。
同時に周囲のどのような回復期リハビリテーション病棟があるのか調べ、事前に見学に行くこと。そのうえで、優先順位を付けておきましょう。
受け入れ先が決まりかけると連絡が入り、家族に面談(聴き取り)があります。望むことをしっかり話し合い、受入OKとなれば、入院日が決まります。
最終的に自宅復帰を望むなら、自宅の見取り図やトイレ、お風呂場、玄関などの詳細な写真を撮ることも求められます。リハビリの内容を決めるのに重要だからです。
↑玄関の段差
↑風呂場の段差
自宅復帰前のための訪問指導
自宅に戻るための退院が近づくと、訪問指導も行われます。これは患者とともに理学療法士、作業療法士などのスタッフが自宅を訪れ、安全に暮らすために必要なことをアドバイスしてくれます。
手すり、段差解消法、福祉用具の選択も含まれるため、担当のケアマネージャーがいれば、同席してもらうのがいいでしょう。
回復期リハビリテーション病棟の選び方
実は筆者も、転んで圧迫骨折をした親をこの病棟に入れました。その時の経験から言えるポイントはいくつかあり、本音でアドバイスをしますと、
(1)初動が大切
入院できるのは疾患の発生から2か月以内なので、すぐ準備しなければなりません。とくに冬場は脳卒中が多いので、順番待ちしている間に2か月が過ぎることもあります。
*筆者の親は冬に発症したため、即座に動いても入院まで45日かかりました。
(2)「どこでもいい」はありえない
周囲に複数の選択肢があれば、必ず見学に行きましょう。ポイントは、病棟の雰囲気です。多くの人たちが話をしている明るい雰囲気であること。リハビリルームの盛況ぶりも重要な視点です。
*リハビリ以外の時間、いかにしっかり接してくれているかも重要なのです。
*回復期リハビリテーション病棟のリストは、一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会のホームページで調べることができます。
(3)患者によく理解してもらう
入院といっても静養する場でないこと。人と接することもリハビリなのだと理解してもらうこと。
*自宅に戻るために必要なことだとしっかり説明しましょう。単に病院(環境)を変えると受け取られると、高齢者が嫌がる傾向があります。
文/西内義雄(医療・保健ジャーナリスト)
医療・保健ジャーナリスト。専門は病気の予防などの保健分野。東京大学医療政策人材養成講座/東京大学公共政策大学院医療政策・教育ユニット、医療政策実践コミュニティ修了生。高知県観光特使。飛行機マニアでもある。JGC&SFC会員。