実は人って日常ですごく我慢している。
その〝我慢〟に気づくのが、デザインの第一歩だと思います。
右脳と左脳を「佐藤オオキ」的に使うなら……
右脳と左脳の両輪を回す。それはデザイナーだけでなく、あらゆるビジネスパーソンの課題を解決する術にもなる。
営業戦略を考えたり、企画を思案する時などは言うまでもない。もっとシンプルにコミュニケーションの領域でも応用できる。
感覚的な表現で伝える会話を右脳的、ロジカルな会話を左脳的としたら大切なのは「相手がどちらを好むか見極めること」だという。
「『これワクワクしませんか!』という情熱的な言葉が響く人と、マーケット動向などの分析を好む人。大まかにいえば2つに分かれます。僕自身プレゼンで実践しています。『この人は右脳が何%で、左脳が何%かな』と推測して、エモーショナルにいくかロジカルにいくか決めているんです。伝え方で結果は明らかに違うという実感もあります」
右脳と左脳を筋トレのように鍛えることも勧める。
「僕の場合、スケッチなどの右脳的な作業と、読書や文章作成などの左脳的な作業をあえて交互にやって酷使したりします。逆に歯磨きやシャワーなどの日常の動作をわざとゆっくりやって脳に負担をかけずに意識的に休ませたりも。アスリートみたい? 近いかもしれないですね(笑)」
このトレーニング(?)を真似てみたら、右脳と左脳の使い分け方がつかめるかもしれない。
最近はマグロ漁船のデザインを依頼され、進行中だという。どんな形になるのか? きっと右脳と左脳をフル回転させて、ワクワクするものを作るに違いない。
サントリー芸術財団50周年
nendo × Suntory Museum of Art information or inspiration?
左脳と右脳でたのしむ日本の美
東京・六本木の東京ミッドタウン ガレリア3F、サントリー美術館にて4月27日から6月2日まで開催。日本美術を、〝右脳的な感じ方〟と〝左脳的なアプローチ〟で楽しむアート展。詳しくはサントリー美術館のHPにて。http://suntory.jp/SMA/
自身の新作も展示。偏光板を使った傘で四季の映像を投影。来場者は傘を手に歩く体験型。
取材・文/箱田高樹(カデナクリエイト)