副業解禁企業が増える中、創業当初から副業を推奨していたのが、メルカリだ。未だ副業未解禁企業が多数を占める中、同社はなぜ副業を推奨するのか。People Experience (Payroll) Teamの望月達矢マネージャーに、その理由を伺った。
本人の市場価値を上げてほしい
「創業当初から副業を推奨していましたが、全体の定例会で当社が副業を推奨していると改めて明言したのは、ちょうど1年ほど前です」(望月氏)。
それと共に副業のガイドラインを明確化した。まず、副業を推奨していることを明文化、そしてなぜ推奨するのか、NGとなる基準を定めた。NGの基準は競合他社などでの副業。メルカリの組織づくりは性善説に基づいており、社員から「この副業はOKか?」と確認されることもほとんどなく、悩ましいときにはしっかり相談してもらえる体制にもなっているという。
副業を推奨する理由は3つだ。
(1)社外でアウトプットしてスキルアップしてほしい
(2)本人の市場価値を上げてほしい
(3)情報発信することで情報が集まるので、どんどん情報発信してほしい
――というものだ。
例えばメルカリはIPOをしたが、その経験をもとにこれから上場したい企業にノウハウを伝え、アウトプットすることにより個人のスキルアップを図り、ひいては市場価値を上げることに繋げる――というようなことを想定している。情報発信は、書籍の執筆などの事例がある。ほかに、例えばスタートアップ企業の人事サポートなどを行っている。
お金を稼ぐことが目的ならば本業を一生懸命やったほうが良い
副業を行う上での同社の制度はどうなっているのだろうか。同社は12~16時がコアタイムのフレックスタイム制で、1日8時間×週5日の労働を基本としている。ただし、仕事は上長と相談の上、フレキシブルに行うことが可能だ。平均年齢30.2歳、平均年収約500万円(2018年6月時点)。
「副業を時給制のアルバイト感覚でやる人はほとんどいない」と望月氏は言う。お金を稼ぎたいという動機も少ないだろうと予測する。なぜなら同社には、成果を挙げ成長する個人を大胆に評価する「無限昇給制」という制度があり、成果が上がれば一気に昇給することが可能。お金を稼ぎたいなら本業で成果を上げた方が確実だからだ。
「副業を通じてメルカリの社員が市場でアウトプットし、優秀だと認められれば、さらに優秀な人が集まってくるので、結果的に採用ブランディングにもつながっているところはあると思います」(同氏)。
1日8時間×5日労働では過労のリスクはないかと問うたところ、カウンセリング、健康管理体制を整えていると回答した。また、働く内容、休日などを自分でコントロールできる人が多いので、副業を推奨しても過労のリスクは低いという。