
近年、いわゆる「訳アリ物件(事故物件)」に関わるビジネスがにわかに注目を集めている。大抵の人には避けられがちな事故物件だが、いわくつきの物件をまとめたサイト「大島てる」や事故物件住みます芸人の松原タニシ氏の登場、さらには事故物件専門の不動産買取、賃貸ビジネスなども始まるなど、事故物件にスポットが当たる機会が増えているのだ。
そこで実際に2年半ほど事故物件に住んでいた筆者の経験を踏まえて、経験者しか分からない事故物件で日常生活を送るなかでリアルに感じた「萎えポイント」を紹介しよう。
事故物件に住んだ背景と理由
筆者は、2015年頃から関西の工業地帯にある事故物件(以下物件A)と中国地方最大の県庁所在地のど真ん中にある事故物件(以下物件B)で合わせて2年半ほど生活していた。ちなみにいわゆる「事故」の内容は、物件Aは孤独死、物件Bは自殺である。
当時は職を転々としており、引っ越し貧乏だったことから、家賃を下げるために事故物件を含む格安物件を手あたり次第に紹介してもらっていた。
不動産関連のポータルサイトの運営などを手掛ける株式会社オウチーノが発表したアンケート結果によると、約4割の回答者が「家賃が安くなるなら事故物件に住んでも良い」と回答している。筆者のように安い家賃が目当てで、事故物件への居住を検討している人は少なくないのだろう。
そこで本題に入る前に、まずは事故物件の家賃について筆者が住んだ物件の実例を挙げてみよう。
事故物件は確かに「安い」。
結論から言うと、事故物件の家賃は相場よりも確かに安かった。物件Aの家賃は相場の3割以上割り引かれており、物件Bにいたっては「駅まで徒歩3分」、「コンビニまで1分」、「風呂トイレ別」、「1K8畳+ロフト付き」、「夜は人通りが少なく静か」という好条件にも関わらず、周辺相場の半分以下の家賃とかなりお得感が強かった。加えて、どちらもまるで新築同様に部屋全体をリフォームしていたのも高ポイントだ。
管理会社やオーナーの意向もあるので家賃が一概に下がるわけではなく、値引き率も異なるが、実体験を元に言えば割安感を求めて事故物件を検討する価値は大いに「アリ」だと考えている。