意外と知らない「玉の輿」の本当の意味

結婚にあたり、より良い生活をしたいと思うのは当然のこと。経済力がある結婚相手を選ぶのはひとつの考え方だろう。
日本では昔から「玉の輿」という言葉がある。憧れ、羨望、嫉妬、嫌悪……様々な感情を抱くこの言葉の意味とは何か？　再考してみよう。

玉の輿の漢字の意味、由来や語源って何？

読めるけれど書けない漢字は結構あるはず。おそらく「輿」も、読めても書けない漢字のひとつではなかろうか。
「輿」という字は「こし」と訓読みするほかに、音読みで「ヨ」と読む。ほかにも「おお（い）」、「くるま」、「の（せる」などの読み方もあるようだ。輿の画数は17画。部首はくるまへんになる。

一方の「玉」は訓読みで「たま」、音読みで「ギョク」と読む。玉の画数は５文字で部首は玉そのものだ。

では最初に輿の意味を考えてみよう。輿とは人をかつぎ運ぶための乗り物のことを指す。私たちに身近なところでいうと、「御神輿（おみこし）」が挙げられるだろう。神様をお担ぎし、移動していただくものが神輿である。

次に玉の意味を考えてみたい。たまは丸い物や美しい女性を指す場合が多い。ギョクと読むと、翡翠（ひすい）などの美しい石や、鶏卵、株式、芸者などを指すことがある。また、高貴な人や天皇などを意味する場合もあり、「玉座」「玉音」などと熟語で使われる。

「玉」と「輿」が合わさることで、貴人が乗る立派な輿を「玉の輿」と呼ぶようになったという。

玉の輿に乗るとはどういう意味？

嫁入りのとき輿に乗った慣習から「輿入れ」という言葉が生まれ、貴人が乗る輿＝「玉の輿」に乗ることで、高貴な家、金持ちの家に嫁ぎ現在の地位を向上させる、そんな女性の姿を「玉の輿に乗る」と称した。

玉の輿って英語ではどういうの？

直訳すると「Celebrity Vehicles」となるだろうが、これでは意味がわからないので、「marry into a man of wealth」や「She married to a rich man.」あたりの表現が近いだろう。また、「become a Cinderella」という表現もちょっとオシャレに使えそうだ。

玉の輿の日ってあるの？

1905（明治38）年1月20日、祇園の芸妓のお雪がモルガン商会創始者J.P.モルガンの甥、ジョージ・モルガンと結婚した。これを機に毎年1月20日が「玉の輿の日」といわれている。

逆玉の輿ってどういう意味？

玉の輿は女性が裕福な男性と結婚することだが、男性が裕福な女性と結婚することを「逆玉の輿に乗る」とか「逆玉」などと呼ばれることがある。

玉の輿といえる職業は？

ドクターシーラボが18〜59歳の未婚女性362人に「玉の輿」についてのアンケート調査を実施したところ、職業として思い浮かぶのは１位が「IT社長」、２位が「医者」、３位が「メーカー社長」、４位が「投資家」、５位が「プロスポーツ選手」となった。

調査概要： Webアンケート／2019年1月11～15日／18歳～59歳　未婚女性362名
関連情報／https://www.ci-labo.com/shopping/product/00013724/

玉の輿の年収ってどれくらいから？

同上調査では「年収、いくらから『玉の輿に乗る』といえますか？」というアンケートも行った。

26.5%の女性が年収1000万円程度（26.5%）と挙げ、次いで2000万円程度（14.9%）、ほぼ同数（11.3%）で「1500万円程度」「1億円程度」となった。

国税庁の「平成29年分民間給与実態統計調査」では、１年を通じて勤務した給与所得者4945万人を対象に給与階級分布を調べたところ、男性の年収1000万円超1500万円以下の階級は男性の給与所得者全体の5.1%だった。また、1500万円超も1.8%に過ぎず、1000万円超の給与所得のある人は全体の6.9%に過ぎなかった。

資産家や高収入者の場合、給与だけで収入を得るわけではないので、給与所得のみで語るのはやや偏っているかもしれないが、1000万円以上を玉の輿と呼ぶのは、現実的な考え方かもしれない。

【参考】あなたにとって「玉の輿」の基準となる年収は？思い浮かべる職業は？

玉の輿結婚って幸せ？

年収の高い、資産のある家庭は当然、物的な満足度は高いだろう。そして、教育費や遊行費などにも余裕があれば、子供や家族全体の人生設計やライフスタイルも高水準になるはずだ。

ただし、玉の輿結婚ならではの苦労もあるようだ。お付き合いする人たちとの人間関係に悩むことや、家庭内での地位が低いという悩み、将来への不安を抱える人も中にはいるようだ。また、収入が高くても支出が荒い家庭の場合、家計が火の車……なんて事態もある。

玉の輿結婚は後悔する？

玉の輿結婚は憧れである一方、妬みの対象にもなりやすい。周囲はその結婚の成功・幸せよりも、不幸話しをおもしろおかしく伝えやすい。玉の輿では「失敗談」がクローズアップされがちだ。
後悔するかしないかは、当人たち次第である。

取材・文／中馬幹弘