2019年10月からの消費税率アップに合わせて、キャッシュレス決済へのポイント還元事業が始まる。これは需要平準化対策として政府が主導するキャッシュレス化施策で、2025年までに民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率40%を目指すものだ。
だが、すでに民間では電子マネーを使うことで、様々な“お得になること”が増えている。この傾向がさらに加速しそうな10月を迎える前に、各電子マネーのお得度を比較してみた。
分類しないと混乱必至! 電子マネーの種類にはどのようなものがあるのか?
一口に電子マネーと言っても、その種類は多種多様。お得度を比較する前に、簡単に分類してみよう。
多すぎてわかりにくい電子マネーの種類を、まずは大分類で分ける
電子マネーは発行元で分類すると、じつは「交通系」と「買い物系」の2種類しかない。
「交通系」は、関東ではSuicaやPASMO、大阪ではICOCA、九州ではSUGOCAなどを指す。これらのカードは発行元が鉄道会社やバス会社で、主に交通機関で使うことから「交通系」と呼ばれる。
もう1つの「買い物系」は、発行元がイオンやセブンイレブン、楽天などだ。実店舗やネット店舗などで使う機会が多いので、「買い物系」と呼ばれている。
機能別一覧で比較しても、電子マネーはやはり2種類に
次に機能で分けても、やはり電子マネーは「プリペイド」と「ポストペイ」の2種類に分かれる。
プリペイドはあらかじめお金をチャージしておく方式で、ポストペイは使ったあとにカード会社から請求が来る方式だ。ポストペイの仕組み自体はクレジットカードと似ているが、サインや暗証番号の入力が不要で、あらかじめ登録したクレジットカードのポイント制度もそのまま使えるのがポストペイと覚えれば良い。「交通系」は基本的にプリペイド、「買い物系」がプリペイドとポストペイに分かれている。
【参考】「今さら聞けない電子マネーのプリペイドとポストペイの違い」
最強の電子マネーはどれ? 利用率とお得度で比較!
まずは「交通系」10種類(Suica/ICOCA/SUGOCA/PASMO/はやかけんなど)、「買い物系」6種類(楽天Edy/WAON/nanaco/iDなど)で利用率をランキングしてみた。
電子マネーの決済額は年5.4%の伸び! そのランキングは?
日本銀行が行っている決済動向調査によれば、電子マネーの決済額は2016年に+10.8%の伸びを記録。2017年には+1.1%に落ちついたものの、ポイント還元事業が発表された2018年には+5.4%の伸びに転じている。
今後もこの傾向は続いていくと考えられるが、「交通系」と「買い物系」ではどちらが伸びるのだろうか?
【参考】決済動向(日本銀行)
これが電子マネー利用率ランキング、ベスト5!
1位 Suica
2位 WAON
3位 nanaco
4位 PASMO
5位 楽天Edy
それぞれの電子マネーを利用する理由は、「交通系」が利便性、「買い物系」がお得感だった。(編集部調べ)
2017年度の調査では、おすすめの電子マネーはこれ!
「交通系」電子マネーを使う理由が利便性なのは、当然の結果と言える。特にJR東日本のSuicaは各社との連携もあり、利用できるエリアが全国に広がっている。認知率もかなりのもので、文句なく「交通系」電子マネーのおすすめはSuicaだ。「買い物系」は2位に入ったWAONがおすすめ。利用率はSuicaと僅差なうえに、全国のイオン系列のスーパーでお得に使えるのが理由だ。
【参考】「利用者の多いカードタイプの電子マネー、都会は交通系、地方はWAONがトップ」
複数の電子マネーを持ち歩くのは不便! おサイフケータイ対応で比較
上でおすすめしたSuicaとWAONだけでも2種類。ほかにnanacoやEdyなども使っていると、すぐに4種類、5種類と増えてしまう。それらを常に持ち歩くのが面倒なら、おサイフケータイにまとめてしまうと便利だ。
Androidのスマホで、FeliCaに対応しているなら、おサイフケータイアプリを使える。「買い物系」なら楽天Edy、WAON、nanaco、iD、QUICPayなど、「交通系」ならモバイルSuicaに対応している。
電子マネーは利便性よりお得度! ポイントの還元率で選ぶ
電子マネーはその利便性も魅力だが、やっぱりポイントなどのお得度も気になる。ここからは、ポイントの還元率などで比較してみよう。
電子マネーの比較では勘違い多発! ポイント付与率
電子マネーに限らずクレジットカードも含め、お得度を比較する時に間違えやすいのがポイント付与率とポイント還元率だ。ポイント付与率とは、「いくら使えば何ポイントもらえるか」を指す。100円の利用で1ポイント付与されるなら、付与率は1%だ。
これもちゃんと比較しよう! 電子マネーのポイント還元率
一方、ポイント還元率は「1ポイントが何円に還元されるか」を指している。1ポイントが1円に還元されるならわかりやすいが、中には10ポイントで1円に還元という仕組みもあるので、よく確認しておきたい。
お得度は「ポイント付与率」と「ポイント還元率」、どちらも見ないと比較できないというわけだ。
クレジットカードと電子マネー、ポイントで比較するとどっちがお得?
単純に比較するなら、ポイント的には「W取り」ができる電子マネーの利用がお得だ。ほとんどの電子マネーには利用によるポイントが付与される上に、クレジットカードでチャージを行えば、その利用ポイントも付与される。