SUVの新型車に注目が集まる一方で、昨年後半から最新鋭の装備を纏ったプレミアムセダンが話題だ。自動運転に向かって開発競争が進む過程で、運転支援や安全性能の強化は避けては通れない。今、最も旬な2台を比較試乗した。
アウディ『A7スポーツバック』はアッパーミドルクーペだが、リアゲートを備えた5ドアの形状で7年ぶりに2代目へと進化した。独自の先進技術を打ち出したクルマ造りで、メルセデス・ベンツ、BМWと肩を並べるドイツのプレミアムブランド御三家として成長を続けてきたアウディだが、このところ新型車が少なくおとなしい印象だったが、久々の新型車投入で話題を集めている。
一方のレクサス『ES』はかつて『ウィンダム』という名で日本に投入されていた前輪駆動の高級車。北米では人気だったが、7代目に当たる新型車を日本に再投入した。最近のレクサス車は、この『ES』やコンパクトSUVの『UX』も、トヨタ『カムリ』『C-HR』と共通のシャーシやコンポーネンツを採用しているが、全く別もののように完成度は高い。特に『ES』は上級グレードの『LS』にも勝るバランスの良さで評価されている。
この2台の特徴は何といっても両社の最新ハイテク技術が実用化されているところにある。外観でまず目につくのは、ヘッドライト。2台とも独自の制御技術を採用している。シャーシも『A7』は4輪操舵システムや可変制御のステアリングレシオを採用。インテリアも上下2段に配したパネルディスプレイのインターフェイスが斬新だ。これまでのロータリープッシュやボタンスイッチを廃し、タッチディスプレイを採用している。目で場所を探すタッチディスプレイはクルマの操作には不向きという声もあるが、同社は指の触感と音によってフィードバックすることでその問題を解消した。
レクサス『ES』は新開発の低重心GA-Kプラットフォームを採用。微細な動きに対しても反応するショックアブゾーバーを世界で初めて実用化し、安定感のあるハンドリングを実現した。特に、バージョンLの足回りはすばらしい。ちなみにバージョンLにはもうひとつ新しい装備がある。それが量産車初となるデジタルアウターミラーだ。外側のカメラで撮影した左右後方の映像を室内のディスプレイに表示するというもので、今後、トレンドになりそうだ。
両車を試乗してみたが、ともにカメラ、ミリ波レーダーなどを駆使した安全性能と運転支援機能が充実。今後のプレミアムカーの開発のカギを握りそうだ。今後もどのような技術が実用化されるのか目が離せない。