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奨学金の利用者は年々増えている。日本学生支援機構の奨学金は、平成29年度の時点で129万人の学生が利用。多くの人が利用している奨学金だが、その返済の仕方に悩む人もいるのではないだろうか。
今回は、少しでも返済しやすいよう、奨学金を減額・増額して返済できる制度について解説していこう。
「返済がきつい」となる前に! まずは奨学金の返済額を把握しておこう
奨学金の返済額をあらかじめ把握しておくと、その分を加味した将来設計を建てやすくなる。貸与総額と利率から割り出せるので、月々の返済額がいくらになるのか確認しておこう。
【参考】奨学金を滞納したらどうなる?保証人に電話される、住宅ローンが組めないって本当?
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の返済額を確認する方法は?
奨学金の返済額は、日本学生支援機構が提供しているインターネットシステムの「スカラネット・パーソナル」か、毎年12月から2月頃に学校から交付される「貸与額通知書」で確認ができる。
【参考】スカラネット・パーソナル(日本学生支援機構 公式サイト)
奨学金の返済額を計算する方法は?
日本学生支援機構のサイトにある「奨学金貸与・返還シミュレーション」で、おおよその返済額が計算できる。自分の貸与総額と利率を入力するので、あらかじめ貸与総額と利率を用意しておこう。
【参考】奨学金貸与・返還シミュレーション(日本学生支援機構 公式サイト)
奨学金を返済する時の利率を知る方法は?
返済時の利率は、どの利率算定方式を選んだかによって変わってくる。「利率固定方式」を選んだ場合、返済完了まで一定の利率になるが、「利率見直し方式」を選んだ場合、およそ5年毎に利率が見直される。
各年度の貸与利率は、日本学生支援機構のサイトで確認しよう。
奨学金の返済額は変更できるの?
奨学金は、場合によって減額・増額して返済ができる。その方法や、詳細について紹介していこう。
奨学金の月々の返済額を変更する方法は?
月々の返済額を変更する方法は、減額するパターンと増額するパターンで変わってくる。
奨学金の返済額を減額する方法
返済額を減額したい時は、月々の返済額を1/2または1/3に減額できる「減額返還制度」が利用できる。ただし、「災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること」が必須条件だ。経済困難の目安は、「所得証明書等の年収額が325万円以下」となっている。
手続きするときは、「奨学金減額返還願」に必要事項を記入し、提出書類と一緒に日本学生支援機構へ送付しよう。
月々の返済額を減らすと、奨学金の返済期間は延びてしまう
これは、“返済期間を延長して”返済月額を減らす制度になる。最長15年まで延長でき、支払総額は変わらないが、この制度を利用すると返済完了まで遠のいてしまうことも考慮しよう。
奨学金の返済額を増額する方法
日本学生支援機構の貸与・給付奨学金相談センターに問い合わせたところ、月々の返済額を増額することは、1回だけできる。1回増額してしまうと、そこから二度と減額などの金額変更はできないので注意が必要だ。変更する際は、「奨学金返還センター」に連絡をしよう。
奨学金を早く返済したい場合は、後述する繰り上げ返済をオススメしたい。
奨学金を一括で返済する方法はあるの?
奨学金は、返還期日前の割賦金を繰り上げて、残額を一括返済できる。
奨学金の返済額を増額変更して、繰り上げ返済する方法は?
月々の返済額を増額して繰り上げ返済をしたいときは、3つの方法で申し込める。その方法は、以下の通り。
- インターネットシステムの「スカラット・パーソナル」から申し込む
- 日本学生支援機構に「繰上返還申込書」を郵送・FAXする
- 奨学金返還相談センターに連絡して申し込む
【参考】繰上げ返済の申込み方法(日本学生支援機構 公式サイト)
奨学金を一括返済した時のメリットは?
奨学金を一括返済するメリットには以下がある。まず、将来支払う利子が削減され、総返済額を節約できる。また、心理的な安定が得られ、家計の自由度が増すことも大きなメリットとなるだろう。さらに、信用評価が向上し、将来のローンやクレジットカード利用が有利になる場合も。これらを踏まえて、一括返済を検討するのも有効だ。
奨学金を一括返済した時の利息はどうなるの?
第二種奨学金の返済額は「元金+利息」で構成されており、返済総額が貸与額より多くなってしまう。繰り上げ返済をすると、その短縮された回数分の利息は全てカットされる。
利息は支払い初期ほど割合が大きいので、なるべく早めに一括返済をすると、より利息を抑えて返済ができる。
奨学金を一括返済した時に報奨金はもらえるの?
第一種奨学金を受け、以下の条件に当てはまる人のみ、報奨金をもらえる。
- 平成16年度までに貸与を開始した人
- 最終返還期日の4年前までに一括返済をした人
報奨金の金額は、「一括返済した分の金額×下図の割合」によって算出された額になる。
奨学金の返済額の平均総額はいくら?
平成29年度3月に貸与が終了した奨学生(大学の部)の、1人あたりの平均貸与総額は以下のとおり。
- 第一種奨学金…241万円
- 第二種奨学金…343万円
第一種の返済額は貸与額そのままだが、第二種はこの金額に利息がつく形になる。
奨学金の返済額の平均は毎月いくら?奨学金貸与・返還シミュレーションを利用してみよう
上記の金額をもとに、「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使用して平均月額を算出した結果は、以下の通り。
第一種奨学金
第一種奨学金は、以下の月額や回数となる。
返済月額…1万3388円(最終月のみ1万3548円)
返済回数…180回(15年)
第二種奨学金
第二種奨学金では、以下の月額や回数となる。ただし、平成30年度4月の基本固定利率0.22%を参考にした場合だ。
返済月額…1万4624円(最終月のみ1万4779円)
返済回数…240回(20年)
利息合計…7万9915円
奨学金の返済は、就職したての人には金額が大きく負担になりやすい。減額・増額すれば、少しでも今後の負担を減らせる。奨学金の返済に悩んでいる人は、ぜひこの記事を参考にしてみてほしい。
文/ねこリセット