クオリティーの高い内装、装備
スウェーデン生まれのクルマという生い立ちを生かした内装は、木の香りとシックな色使いや面使いで、スカンジナビアンテイストを存分に演出している。これも最近の、クルマユーザーの好みにフィットし、人気車種となっている一因だ。
キーケースも表面が4色のレザーから選べるのは、ボルボだけのエクスクルーシブ感覚。ベンチレーションとマッサージ機能付のナッパレザーシート、後席にもシートヒーターを備えている。内装は素材や色で13種類選べるようになっている。
ハイレベルの先進安全技術
ボルボは、初代「XC60」から完全停止する自動ブレーキを装備している。さらに最近では16種類以上の先進安全・運転支援機能も標準で装備。それらが実に有効に作動する。例えば、前車が急にブレーキをかけ、追突しそうな時は、運転者の目の前のフロントウインドウに、真っ赤な文字で注意を促す。試乗中はこれにビックリして思わずブレーキをかけてしまったが、決して中途半端な装備ではなく本当に運転者を含めた乗員を守る、という同社の強い意志が伝わってくる。
走行インプレッション
4気筒2Lのディーゼルターボは、Nox低減のために尿素SCRシステムを導入している。最高出力は190PS、最大トルク400Nmで、8速ATと組み合わされている。試乗車の車重は1890kgとやや重め。0→100km/hの加速を計測すると、8〜9秒台で走り切る。
これはアルファロメオ「ステルヴィオ」ディーゼルモデルより遅く、アウディ「Q5」ディーゼルモデルより速いタイムだ。加速する様子は荒々しさよりも、大人しくて素直な感じ。8速ATのマニュアルモードもパドルはなく、シフトレバーの操作だけでOK。積極的にシフトを楽しむ設計にはなっていない。それも「XC60」の性格を表わすポイントかもしれない。
あくまでもファミリーカーなので、荒々しいスポーツ走行は楽しむというクルマではない。4気筒2Lのディーゼルターボは、ガラガラ音も振動も、しっかりと抑えられている。アクセル・オンで加速している時にややエンジン音が高まるところが気になるが、それもディーゼルエンジンだったと気づかされるぐらいのもの。
エコ/コンフォート/インディビデュアル/ダイナミック/オフロード、と切り替えられる走行モードも、基本的にはコンフォートモードで十分カバーできる。実走燃費も街中では10km/L台をキープ。郊外では16km/Lと、カタログ値をきちんと達成していた。
最後に購入を検討している人へのアドバイスを。「インスクリプション」は679万円だが、「モメンタム」は599万円。装備の差はリアシートヒーターやホイール径の違いぐらい。この差をしっかりと見極めて選択するのが賢明だ。
■関連情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/xc60
文/石川真禧照 撮影/萩原文博