その技術進化とともにさまざまな業界で活用の幅が広がっている3Dスキャナ。3Dプリンタの普及とともに市場も急速に大きくなっているが、今回リリースが発表されたCCCフォトライフラボの「3D SNAP」はペット市場に向けてリリースされた画期的な製品だ。
3D SNAP本体。大きさは畳2畳分程度でライトバンでの運搬が可能。設営も5分程度で行えるので、各種イベントへの持ち込みも簡単だ
コンパニオンアニマルとしても見直されているペットに対する飼い主たちの愛情はとどまるところを知らないが、近年増えている需要が「ペットの思い出を残すために本物そっくりの3Dフィギュアを作りたい」というもの。そこでCCCフォトライフラボでは、3Dスキャナ+プリンタによるフィギュア造形サービスをなんとかペット業界でも活用できないかと試行錯誤してきた。
数年前の3Dスキャナ技術だと、ペットをターンテーブルに載せて回転しながらスキャンするという方法が採用されてきたが、これだと撮影時間が10分程度かかる。その間ペットは静止していなければならないのだが、実際に生きているペットにそれを要求するのは無理があるだろう。そこでCCCフォトライフラボでは、複数のカメラを使って瞬間的に寸法や形状を測定するフォトグラメトリという写真測量技術を数年がかりで開発。102台のカメラを駆使して1/200秒という高速でスキャンを完了させる3Dスキャナを具現化し、これを昨年1月より使ってきた。
この3Dスキャナは3m×3m×2.3mというかなり大型のもので、昨年1年かけて子供向けイベントやダンス、ボディビル大会、さらにはペットフェスなどに出張して撮影サービスを提供してきた。そこで特に反応が良かったのがやはりペットのフィギュアで、実際にフィギュアを発注する顧客も多かったそうだ。
今回発表された3D SNAPは、そのペット撮影に特化したスキャナ。大きさは1.8m×1.8m×1.3mとコンパクト化されており、ライトバンなどで運搬できるので、各種イベントにも持ち込みやすくなっている。カメラは64台に減らされており、設営は5分程度で可能。しかも家庭用100V電源1口で駆動できるので、条件的に厳しいスペースでもフレキシブルな使い方が考えられる。もちろん撮影にかかる時間は1/200秒なので、じっとしていないペットの撮影もまったく問題ない。撮影されたデータはネット上にアップされ、顧客はスマホなどで閲覧して気に入ったデータをフィギュア化してもらうという流れになる。
撮影はこのように多数のカメラで瞬時に行われる。1/200秒のシャッタースピードで、じっとしていない犬でも大丈夫