今回のジンギスカンブームの火付け役が、麻布十番の『羊サンライズ』という店であることは、衆目の認めるところ。札幌の名店『札幌成吉思汗 しろくま』の新橋店の店長を務めていた関澤波留人が、独立して2016年11月に開いたこの店は、客ではなく店のスタッフが肉を焼くスタイルで、チルドの羊肉のおいしさを改めて世に知らしめ、美食家たちに鉄槌を食らわすほどの衝撃を与えました。実際、客として食べに行ってみましたが、特にマトンは完全に従来の常識を覆す味です!
この店の最大の勝因は、国内の数少ない生産者の元に足繁く通い、仕入れのパイプを作ったこと。国産羊肉は、輸入物に比べれば、輸送時間がぐっと短くてすみますから、それは新鮮なはず。また、日本の羊生産者の多くは、国の援助金が受けられず、これまで独学で羊の扱い方を学んできたそうですが、ここに来て扱い方も安定してきた上、羊は同じ品種でも環境や餌の種類によって味が変わるので、国の画一的な指示を受けず、それぞれの工夫で育てている分、個性的な羊を作ることができ、食べ比べが楽しいといいます。
最近は、『羊サンライズ』を追って類似店も登場しているようですが、羊肉好きとしては、今回のジンギスカン・ブームが前回のように盛り上がるだけ盛り上がって、さっと終わるということがないよう、祈るばかりです。
第3次ジンギスカン・ブームの立役者『羊サンライズ』はスタッフが目の前で肉を焼き、羊のウンチク話が1時間続くことも。煙モウモウで服に臭いがつくのが玉に瑕ですが、味は折り紙付き。1月29日には神楽坂に2号店『TEPPAN羊SUNRISE』を出店。◆住所:港区麻布十番2-19-10 PIA麻布十番2・3階◆電話:050・5591・0613
【秘訣】生産者のもとに足繁く通い、仕入れのパイプを作る
取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ