われわれが、日常的に使っている掃除・洗濯用のさまざまな洗剤。スーパーやドラッグストアには、食器、衣類、浴室などの用途別に各メーカーの製品が所狭しと陳列され、どれがいいのか判断に迷う。
なので、セール中とか容器のデザインが目を惹く、といった基準で選んでしまいがち。
でも、その商品選びで果たして正しいのだろうか…
…という、みんなが持っている心のもやもやを晴らしてくれるのが、2018年12月に刊行された『秒でわかる! 最強の家事 – 暮らしは、化学でラクになる!』(ワニブックス)だ。
著者の「かずのすけ」さんは、横浜国立大学大学院の洗剤洗浄科学研究室の出身。月間470万アクセスを記録する人気ブログ「かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき」で、ご存知の方もいらっしゃるだろう。
本書でかずのすけさんは、化学の専門家の視点から本当におすすめできる掃除・洗濯用の商品を実名で明かしている。目から鱗の推奨理由も述べてあるので、納得感は大。ということで、そのうち幾つかを紹介しよう。
「キュキュット ハンドマイルド」(花王)
かずのすけさんが、本書の中で推薦する食器用洗剤2つのうち1つが、こちら。
主成分が「非イオン界面活性剤」であることが、おすすめのポイントだという。難しそうな言葉だが、「イオン性」のある洗剤は、皮膚刺激がそれなりにあり、肌荒れの原因となる。例えば、「陰イオン界面活性剤」は、「泡立ちに優れ、様々な汚れを幅広く落とせる一方で、手肌への刺激性が懸念される」という。
これに対し非イオン界面活性剤は、「手肌そのものへの刺激は非常にマイルド」。手荒れが気になる人には、こちらが賢い選択になる。
一方で、非イオン界面活性剤は、洗浄力は限定的。ただし、「キュキュット ハンドマイルド」については、「油汚れを十分に落とせる洗浄力も確保」していると、かずのすけさんは、太鼓判を押す。
「キレイキレイ」(LION)
除菌ウェットティッシュは多くの商品が出ているが、かずのすけさんが推すのは、意外にも定番のロングセラー。
イチオシのポイントは、除菌成分はエタノールのみ、防腐剤はパラペンのみという「シンプルな数少ない成分」。除菌ウェットティッシュは、アルコール(エタノール)タイプとノンアルコールタイプに大別される。なんとなく、「ノンアルコールタイプの方がよさそう」に思えるが、食卓などの除菌目的なら話は別だという。かずのすけさんは、以下のように解説する。
「エタノールは、“揮発性”という性質があるので、気体となってその場から消えてなくなります。ですので成分残留を考えるとエタノールを使用したウェットティッシュが最も安全性が高いのです」
ほかの殺菌・除菌剤だと揮発性がないため、同じ個所を拭き続けることでその成分が蓄積するリスクがあるとも。
また、巷であまり評判のよくないパラペンは、「実は防腐剤の中では、安全性の高い成分」とのことで、「キレイキレイ」がベストの選択というわけ。