文字や数字を目にすると、色が浮かんできたり、人に色を感じる人たちがいるという。人により見え方や感じ方は異なるというが、そのような現象を「共感覚」というそうだ。以前、パラリンピックのメダリストが「人の動きや力の使い方が色で見える」と話したことでも話題になった。心理士の資格を持ち、自らの共感覚を活かしたカウンセリングを行っている鎌田聖菜さんに、色を使って感情をコントロールする方法について聞いた。
人の気持ちがダイレクトに色で伝わってくる
共感覚とは、通常の感覚と同時に、他の五感にも刺激を感じる特殊な知覚感覚のことだと認識しています。数字が色で見えたり、音に色や形を感じたりする人もいるようです。例えば私の場合、向上心高めで競争心の強い人はレッド、Noと言えないお人好しはブルー、好奇心旺盛な人はイエローに感じます。小学生の頃から、「この人はこの色だから、こんな行動をするんだ」というように、人を色分けして見ていました。
色そのものは、その時の気分によって見え方が違うので、気分が弾んでいる時の色はどれも美しく輝いて見えます。逆に落ち込んでいる時は、どの色も少しくすんで、悲しげに見えます。人の気持ちがダイレクトに色で伝わってくるので、今何を欲しているか、赤の他人でもわかってしまうのが時々辛く感じます。また、知らない人にも同情し過ぎたり、全く関係のない人が気分を害している時にも敏感に反応してしまい、心身共に疲れたりもします。
「これが共感覚なのかも。」と感じたのは、5年ほど前です。心理コンサルティングやブランディングの仕事でクライアントと話していると、その方の背景や感情、願望などの振動が色の波になって私の中に伝わってくるのです。その色を”お守りカラー”として使ってもらうと、クライアントの生活が面白いほど好転していきました。
相手が考えていることや、経験してきたことなどが、色を通じて情報として得られるため、普通のカウンセリングをするよりも、より深い本音の部分を知ることができるのは仕事に活きています。