石野氏:auはなぁ、今、ユーザーが減っているし、そんな中でじぶん銀行にauを付けるのはどうかなと。
房野氏:KDDIなんとかからauなんとかへと全部変えましたね。
法林氏:KDDIはお堅いんですよ、名前が。
房野氏:銀行はお堅くてもいいんじゃないですか?
法林氏:でもね、銀行の役割が若干違っていて、今回のauのやろうとしていることは、コンシューマサービスの延長。企業に4300万円融資しますとかではない。個人商店に100万円融資するとかの方が現実的なやり方。なんでしたら住宅ローンいかがですか、みたいな話とか、そういうところを狙っている。銀行としては今までにないタイプなので、KDDIとじぶん銀行を一緒にやってきた三菱UFJグループにとっては大切なこと。三菱は元々、リテールが弱く、銀行の中では断トツでお堅い。その点、みずほ銀行の方が大きくなっている分、緩くなっていて、三井住友銀行はお堅いといわれつつも、3番手、4番手なので少し緩いところもある。三菱UFJは住宅ローンの貸し出しとかも、財務省に怒られるくらいすごく低い。そういう意味で、じぶん銀行みたいなものを、まぁ、半々でKDDIと一緒に作ったのに、今回、ああいう形でKDDIの完全子会社化を認めているのは、たぶんそこ。リテールを取っていくため。でも、じぶん銀行と三菱UFJ銀行の手数料は無料といったところは、たぶんちゃんと残していく。
石野氏:三菱UFJはじぶん銀行の株式の30数パーセントは持っていますからね。ただ、カブドットコム証券がauカブコム証券に名前を変えたり、ウェブマネーをau PAYにしちゃうのかというのが、ちょっと……。ウェブマネーもカブドットコム証券も、もともと一般向けにやっていたのに、なぜユーザーを限定しちゃうのかと。
法林氏:カブドットコム証券は、ネット証券という意味ではすごくいい会社だと思う。ネット証券の先駆者の1つ。マネックス証券とか松井証券とか、ネット系はばーっと広がったけれど、その中で明るいブランドイメージでうまくきている会社だと思う。そういう意味ではじぶん銀行とカラーは近いかな。ただ、auという名前をわざわざ付ける必要があったのかな。カブドットコムで十分通っている。
石川氏:カブドットコムをカブコムにしちゃうのはどうかと思いますよ(笑)
石野氏:auカブコム証券。auを付けるために縮めてしまったような感じがある。
石川氏:そうそう。カブコムは違くね? みたいな。
法林氏:しかも上場廃止なんですよね、カブコムって。
石野氏:auじぶん銀行も違和感ありますけどね。auの銀行なのかじぶんの銀行なのか、どっちだよって。あれは自分1人1人のネット銀行という意味でじぶん銀行という名前になったのに。
石川氏:今まで、じぶん銀行はオープンを気取ってみたり、auユーザー寄りになったりとフラフラしていたので、決心がついたということでは評価していいかなと。
法林氏:発表会が終わった後に勝木さん(ライフデザイン事業本部 金融・コマース本部長 勝木朋彦氏)を囲んでいろいろ話したんですよ。全部auという名前にするけれど影響はないのかと聞いたら「そこまで悪いイメージはないと思うので大丈夫です」と答えていました。また、いろいろ話している中で「トータルでいうとコントローラブルになったということでいいのか」と聞いたら「その通りです」という回答だった。
石川氏:じぶん銀行の社長もKDDIと三菱UFJでコロコロ変わっているんですよね。少なくとも、ウチらは取材がしやすくなったかな。記者会見にも呼んでもらえるようになるんじゃないかなって。
石野氏:以前は警戒されていましたからね。フォローすると、じぶん銀行はスマホ対応、アプリの対応が良くて、三菱UFJより先に指紋認証でのロック解除に対応したりとか(笑)、タイムラインが見やすいとか、ちゃんとスマホに特化している。あと、なにより住宅ローンが安い。