■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議
スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はスマホ決済について議論します。
「20%還元」競争が勃発
房野氏:PayPayが「第2弾 100億円キャンペーン」を始めました。今度は1回の支払いにおける還元の上限が1000円相当ということですが。
【参考】〝PayPay祭り〟で一気に広まったQR決済はどこまで普及するか?
石川氏:現実的な路線に来たというか、継続的に使わせるという意味ではいいキャンペーンだと思います。1回目のキャンペーンがあまりにも馬鹿げていたというか乱痴気騒ぎだったので、現実的にそれは収束するだろうなという気もするし。今回面白いのが、PayPayが20%還元をすると言ったら、始まる前々日くらいにLINE Payもファミリーマート限定で20%還元をやると言い出して、20%還元競争になっていること。ただ、ユーザーが賢いというか、キャンペーンだったら使うけど、キャンペーンがなかったら使わないという感じになりつつあるので、この勝負がいつまで続くのかというのが見物だと思います。
石野氏:うまく制限をかけてきたとは思うんですが、それでもLINE Payに比べると金額が大きくて、現金ばらまきのソフトバンクだなと感じます。LINE Payは対抗していますが、ファミマだけなので対抗しきれていない感じがする。PayPayが今のところ注目度では一歩リードしている。心配なのはau PAY。キャンペーンは何かしら考えているらしいけれど、PayPayほどのキャンペーンは考えていないと今の段階で言っているので、それは違うだろうと思った。なんだかんだいって、PayPayほどではないですけど、ドコモもdポイントのキャンペーン「 魔法のスーパーチャンス!」では30億円用意していて、仕組みが複雑だから難点はありつつも一部のユーザーには好評で、「買い回り」でわざわざ1000円以上買うみたいなことをしていた。d払いで20%還元もやってて、それに対してauは及び腰だなと。
石川氏:auは過去のau WALLETのキャンペーンで反省しているんですよ。キャンペーンで大盤振る舞いしても、その後すぐ使われなくなるということをauは痛いほど分かっている。
法林氏:PayPayに対しては、順番として今回の上限1000円のキャンペーンを先にやった方が良かったんじゃないかという意見があって、僕も最初はそう思っていたんだけど、実際の流れで良かったのかなと思う。KDDIの「au経済圏」の発表会で社長の髙橋さんが「ウチはau WALLETの口座に1000億円分の原資がある」と言っていた。それを使って投資とかいろいろなことをやっていく。中にはau PAYで使ってもらうんだろうけど、毎月、auの携帯電話料金を払っているところからポイントが生まれている。だから、正しい言い方かどうかはわからないけど、ポイントは基本的に枯渇しないし、少なくともある程度はみんな持っている。