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「幸せな人生を送るために必要なもの」ハーバード大学研究

2019.03.18

米国発ウェルネスライフのススメ 第四回良い人間関係の築き方

ハーバード大学やMITなど世界トップレベルの大学が集まる学術都市ボストンに住む人々から学んだ、心身共に豊かで健康な生活「ウェルネスライフ」という概念をご存じでしょうか? ウェルネスライフとは肉体的、精神的、そして社会的に良好な状態を目指す生き方です。

詳しくはコチラ→ ■ウェルネスライフとは?

本連載「食から始まるウェルネスライフ」では、健康的な身体づくりや心の整え方など、「ウェルネスライフ」を実現させるための秘訣を、私たちが生活していく上で必要不可欠な「食」と絡めて紹介します。

今回は、「幸福な人生を送るために最も必要なもの」とも言われている「良い人間関係の築き方」について紹介します。

日々の生活を楽しく、豊かにしてくれるものは何だと思いますか?

好きなものを買えるお金、やりがいのある仕事、そして夢中になれる趣味があれば、充実した人生を送れる。日本で生活している時、私はそんな風に思っていました。

しかし、ボストンで生活するようになってから、身近にいることが当たり前だと感じていた友人や家族の存在がいかに大きかったか、ということに気付かされました。

仕事終わりに飲みに誘える友人や、辛いことがあった時弱音を吐ける家族が近くにいないこと。それがこんなにも辛いことだとは、思ってもいませんでした。

ボストンで生活するようになった当初、友人は一人もいませんでした。慣れない海外生活での悩みを話せる人も、興味のあるイベントに誘える人も、誰一人いませんでした。

ウェルネスライフを送る上で必要不可欠なもの。それは「信頼できる友人や家族の存在」だという事に気づいたのは、日本では存在が当たり前になってしまった友人や家族と離れて生活するようになってからでした。

ハーバード大学で証明された「幸福な人生を送るために必要なもの」とは?

信頼できる人の有無が人生に及ぼす影響については、ハーバード大学でも研究されています。

ハーバード大学成人発達研究が75年間にわたって追跡調査をした結果、幸福な人生を送るために一番大切なものは「良い人間関係を築くこと」ということが明らかになりました。
この研究結果は日本でも話題になったので、知っている方も多いかもしれません。調査方法や調査結果の詳細はこちらの動画にありますので、ご覧いただければと思います。

この動画で、ハーバード成人発達研究のロバート・ウオールディンガー所長は、「健康で幸福な人生を送るのに必要なのは『富』や『名声』ではなく、『良い人間関係を築くこと』であり、それこそがもっとも大きな幸せの要因だ。」と結論付けています。この調査で明らかになったことは3つあります。

1.周囲と良い関係を築いている人は、身体的にも精神的にも健康で、長生きする。

家族や友人などと良い関係を築き、社会とより良い関係を築けている人は身体的に健康で、精神的にも充足していることに加え、社会との繋がりが薄い人よりも長生きしています。

反対に、孤独を感じている人は、中年期に健康が悪化し、周囲と良い関係を築いている人と比べて早死にします。

2.人間関係で重要なのは量より質

大切なのは、友人の数やパートナーの有無ではなく、心の底から信頼できる人がいるか?なのです。一緒にいて安心できる人、ありのままの自分を出せる人、そんな人が身近にいることが重要なのです。

どんなにFacebook上での友人の数が多くても、信頼できる人が存在しなかったら、幸福な人生は送れません。

「独身女性でいるよりも既婚女性でいる方が良いから…」という理由で、常にケンカをしているような夫婦関係を我慢している人は、「おそらく離婚するよりも心身に悪影響を与える」とも述べられています。

3.良い人間関係を築いている人は、脳も守ってくれる

今回の調査で、何かあった時に本当に頼れると思える人が近くにいる人の記憶は、頼れる人がいない人と比較してハッキリしていることが明らかになりました。反対に、近くに信頼できる人がいないと回答した人は、記憶障害が早期に現れ始めていました。

社会的な結びつきが強いと病気になるリスクが低減する?!

また「絆が強いほど、健康に良い効果がある」という研究結果も出ています。

米国ペンシルベニア州に、イタリア系移民が中心に住む「ロゼト」という、人口1,600人ほどの小さな町があります。ロゼトはイタリア系移民が多いため、動脈硬化になりやすい食習慣があり、さらに喫煙や飲酒率も高く、さらにロゼトに住む男性の多くは、煤煙まみれになりやすい採石場で働いていたため、労働環境は必ずしも良くはない状態でした。これほど病気になりやすいリスクがあるにも関わらず、調査の結果ロゼトでの心筋梗塞による死亡率は他の町と比較し有意に低いという結果が出ました。

その要因について様々な研究がされた結果、ロゼトの男性の心筋梗塞による死亡率が低いのは、「社会的な結びつきや絆の強さによる影響」と推測されました。イタリアの特定の地域から集団で米国へ移住した結果、ロゼとでは教会や家族のつながりが強く、お互いに助け合い、多世代同居生活で、高齢者が大切にされており、市民の絆が強かったため死亡率が低くなったのです。

しかし、年月が経ち、古き良き移民のコミュニティーが少なくなり、ロゼトが周辺の他の町と大差ない一般的なアメリカの町になっていくと、ロゼトの中高年男性の心筋梗塞リスクは、他の町と変わらなくなりました。

この調査結果は、町の名前をとって「ロゼト効果」と呼ばれています。

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