2mの高さがある閉塞感のない空間、防音構造など随所に工夫をこらす
1階~5階が客室で全78ベッド。1階はレセプション、地下1階にはバー&ラウンジ「TAIAN」、地下2階はシャワー室とワークスペースという構成になっている。
5階が女性専用フロア、1階が男性専用フロアで、その他のフロアは男女混合グループ、隣同士を希望するカップルに対応するジェンダーレスのフロアとなっている。シャワー室は施錠ができる個室タイプで、両端の3個ずつ男女別、中央の2個は自由に使える。男性客が多い日は男性用を5個に増やすなど臨機応変に対応する。フリースペースには洗面台も備えている。
〇客室
78室は5タイプに分かれており、カプセルエリアが部屋の大きさの違いにより3タイプ、角部屋が2タイプ。カプセルエリアは、スタンダード(100㎝シングルベッド)、スーペリア(120㎝セミダブルベッド)、スーペリア畳付き(120㎝セミダブルベッド)の3タイプで、メインのタイプは1.4m×2mの2.8㎡、高さは2mと、外国人男性が立っても頭がぶつからないスペースで、カプセルの窮屈感を感じさせない間取りだ。
角部屋の奥まった位置にあるのはコーナー、デラックスコーナーの2タイプ(共に120㎝セミダブルベッド)。いずれの部屋にも客室内金庫、フリーWifi、ハンガー、タオル、 フル・アメニティセットが付いている。床の間部分にある客室内金庫は15インチのノートPC がしっかり入るスペースを確保。シャワー室に行く場合などは貴重品を入れておくことができる。大きな荷物はフロアごとにあるロッカーを使用する。
騒音については実験を行い、カプセルを仕切るのれんは防音素材で作っており、壁もカラオケ店と同じ構造を用いている。入口が小さく音が中にこもるようになっていて、カプセル内の音が外に出にくい。
「二段ベッドだと収容人数は2倍になるが降りにくい、上の振動で眠れないという不満も出てくるので単価を下げなくてはいけないが、一段でしっかりと休んでいただける空間にして満足度を上げれば単価が高くても結果的に同じになる。安らぎの空間にしたいというコンセプトもありテレビはつけていない。壁は珪藻土を使い、床の間は和紙でできている。木材は松の木を使っており、各カプセルの入口にある“組子”は、レーザーカットの技術を使いながら私が作り上げたもの。フロアごとにデザインを変えている」(各務氏)
ルームウエアはSOMA DESIGNの廣川玉枝氏デザインのhotel zen tokyoオリジナル。着物のシルエットからインスパイアされた、市中の山居の中で自然の空気をまとう禅の精神を引き込むようなデザインで、深い海と空の間をイメージしたぼかし染めは、創業109年の和装染色の伝統を受け継いだ職人の手により丁寧に染め上げている。
全部屋にはタイプごとに4作品の日本画が飾られているが、東京藝術大学にキュレーションしてもらい、日本画の伝統を引き継ぐ新進気鋭の4人のアーティストの作品を、同大学が特許を持つ「クローン技術」によって制作されたもの。