ジムニー(660cc)とジムニーシエラ(1500cc)の、20年ぶりの全面改良が発表されたのは2018年7月。当初ジムニーの年間販売目標台数は1万5000台、ジムニーシエラは1200台だった。
ところが、発表後すぐに両モデル合わせて2万台を越える注文が殺到、人気のモデルは納車まで2年かかると言われたケースも発生した。モデルチェンジを切望していた顧客の期待を予想できなかったといえばそれまでだが、なぜこのような事態になったのだろうか? 人気の秘密、メーカーの対応も含め、現在の納期などを紹介する。
何が原因なのか? 新型ジムニーの納期待ち
昨年の発売以来、ネットでその長い納期が話題となっているジムニーだが、原因は何だろうか?
まずは、20年ぶりというフルモデルチェンジが大きく影響していそうだ。各メーカーのモデルで若干の違いはあるが、日本車の場合はマイナーチェンジが発売2~3年後、フルモデルチェンジは発売後4~6年が平均だ。SUVの場合はファミリーカーなどより長く(たとえばトヨタのランドクルーザーなど)、10年間隔のフルモデルチェンジは珍しくない。
ただ、やはり20年は長い。車内外のデザインはもちろん、クルマとしての機能がかなり古くなってしまう。メーカーも予想できなかったこの大人気は、外見の古さがあまり気にならないSUVユーザーであっても、走行性能や安全性などに対するアップデートの要望が強かったことに起因するだろう。
コンパクトでありながら、本格的な悪路走破性能を備えていたジムニーは、もともと人気が高かった。だからこそ、20年もフルモデルチェンジをせずに売れ続けていたのだ。新型のボディサイズ、車両重量は旧型とほぼ同等で、取り回しの良さを踏襲した。初代から変わらないラダーフレームシャシーと、4輪リジッドサスペンションはクラス随一の悪路走破性を発揮し、シンプルで合理的なエクステリアデザインは玄人ウケする要素満載だ。
加えて新型は、オンロード性能(ボディーマウントゴムの大型化/振動の低減/走行安定性向上)、安全性能(ボディ剛性のアップ等)、使い勝手(荷室を拡大しフラット化/インテリアの変更)が強化されている。古くからのユーザーが待ち望んでいた性能アップと、人気の高かった性能をうまくバランスさせたフルモデルチェンジだったのだ。新型ジムニー人気爆発の、一番の理由はここにある。
【参考】
スズキ「ジムニー」vs スズキ「ジムニーシエラ」1年待っても買うべきはどっち?
ジムニーの納期短縮に対策! メーカーが増産を発表
2018年11月、ジムニーの製造メーカーであるスズキは、2019年早々にも増産体制を整えバックオーダー解消に向けた対策を発表した。具体的には、ジムニーの生産ラインを湖西工場に増設し、従来の月産能力を1.5倍に引き上げるというものだ。
発表では具体的なバックオーダーの数には触れていないが、登録台数から見ると旧型ジムニーの月平均登録台数が1000台程度に対して、新型は2500台弱だ。約2.5倍の登録台数ということになるが、ジムニーシエラに至ってはこれが8倍となっている。これは運良く“買えた人”の数なので、納車待ちの人の数は推して知るべしといったところだ。
現在のジムニーの納期は?
2018年、もともと生産予定台数の少なかったジムニーシエラでは、2年という納期回答もあったようだが、平均するとジムニーの納期は1年前後だった。発売から6か月、2019年2月現在の納期はどうなっているのだろうか?
ジムニーの納期はまだ1年かかる?
グレードや色、メーカーオプションの付け方によって若干の違いはあるようだが、いろいろな情報を総合すると、ジムニーが6~12か月、ジムニーシエラが12か月程度のようだ。納期問題は徐々に解消に向かっているものの、増産体制の効果が出るにはもう少し時間がかかりそうだ。また値引きについても、この超売り手市場が影響し、ほとんどない状況らしい。