■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
三菱の新型「デリカD:5」の画像を初めて見た時にはビックリさせられた。もちろん、そのフロントフェイスにである。クロムメッキをこれでもかと使い、薄い横長ヘッドライトと縦長のドライビングライトが配された、他の何にも似ていない強烈な造形だ。そう感じたのは僕だけではなかったようだ。
「新型デリカのドヤ顏ハンパない」
「アル・ヴェルも真っ青」
「デリカもついにヤンキー路線に進出か!?」
書き込まれたコメントに僕も同感だった。ところが、実物に対面してみると、写真で見た印象とはだいぶ違っていた。個性的ではあるけれども“どや顏”や“ヤンキー路線”とは呼べない。これは“バロック”だ。
機械として優れているか?★★★★★5.0(★5つが満点)
今回の主なマイナーチェンジの内容は、フェイスリフトとともに2.2Lディーゼルエンジンの静粛性とレスポンスを向上させ、待望の8速ATと組み合わせた。北海道の雪道で旧型と較べながら運転したところ、エンジンやボディーの静粛性が向上したことははっきりと体感できた。同時に、パワーステアリングが電動タイプとなったことによって軽いチカラで操作できるようになったことも確認できた。
また、特設の過酷なテストコースも走った。アップダウンが激しく、スタックしそうなほどに全面に雪が積もっている。スタッドレスタイヤを履いた「デリカD:5」は、一度もスタックすることなく走り抜けることができた。その秘密は、旧型以前の「デリカ」がもともと持っていた高い悪路走破性によるものがさらに磨かれたからだ。
他のミニバンと異なり、最低地上高が185mmも確保され、アプローチアングルも21度という圧倒的な値が設定されている。もちろん、三菱の得意とする4輪駆動システムもさらに最適化されている。それらに、改良が施されたディーゼルエンジンと8速ATが組み合わされているので、オフロード走行ではダントツの走破力を誇っているミニバンが「デリカD:5」なのである。世界的に見ても、ここまでの走破性を備えたミニバンを他に知らない。頻繁に雪道や未舗装路を走り、スキーやキャンプに出掛ける人には最優先の選択肢となるだろう。