掲載点数3900万点(2019年2月現在)と日本最大級のストックフォトサービス「PIXTA」。クリエイターは現在約28万人が登録し、最大で月間250万円を売り上げているという。登録するクリエイターはアマチュアカメラマンからプロカメラマンまでさまざま。一般クリエイターが販売価格の通常22~42%、独占販売設定で30~48%、専属クリエイターが30~53%、人物専属クリエイターが42~58%の収入となる。そんな「PIXTA」で、副業として「PIXTA」に取り組み、月間売り上げ20万円、収入10万円を獲得しているKazponさん(https://creator.pixta.jp/@kazponpon 本業IT企業エンジニア・32歳)にお話を伺った。
PIXTAのワークショップでノウハウを知り意識が変わった!
――「PIXTA」で写真を売るようになったきっかけを教えてください。
2年半前にストックフォトサービスの存在は知っていました。彼女と旅行に行ったときにスマホでなくてちゃんとした写真を残そうということになり、一眼レフを買ったのです。写真を撮るのって結構楽しいと思いました。そんな中、彼女と雑談する中で、「そういえばストックフォトサービスってあるよね。とりあえず写真を上げといても良いんじゃない?」という話になり、彼女が京都で着物を着ている写真とか公園でヨガのポーズを取っている写真などを上げていました。
「PIXTA」を選んだのは、国内で一番強いサービスだからです。他に検討したサービスもありましたが、他はワールドワイドなのでターゲットを日本人に特化した「PIXTA」が良いと思いました。
ただ、当時はとりあえず上げておこうという感じで、今とは全然意識が違います。
――意識が変わったきっかけは何ですか?
2017年8月、「PIXTA」で販売する写真を自社でつくっているチームのディレクターがクリエイターにノウハウを伝授するワークショップに参加したのがきっかけです。そこで小物をどう置くか、どういう雰囲気を出すかとか、というスタイリングをして、モデルにはこういう表情をしてくださいとかディレクションすれば、どういう写真が撮れるのか学びました。
ワークショップに参加しただけで、急激に売れる写真が撮れる訳ではありませんでしたが、試行錯誤して継続することによって質が上がりました。
デジタル現像をすることが重要。経費は10万円くらい
――写真を撮る前の準備も重要ということですね。写真が完成するまでの流れを教えてください。
まず、ビジネスで撮るのか、家族を撮るのか、カップルを撮るのか、シニアを撮るのかテーマを設定し、企画の大枠を決めます。その後、ビジネスならこういう会議をしているシーンは需要があるかなとかシーンを決めていきます。そうするとどういうモデルでどういうスタジオでどういう雰囲気を出すか見えてきます。それに近い写真をネットで検索し、参考にして今回はこういうイメージで撮ろうと決めます。
当日は150~200枚は販売できるように撮影します。
撮影が終わったら、デジタル現像です。私は「Capture One」を使っています。暗い写真を明るくしたり、全体的に鮮やかにしたり、部分的に白く飛ばしたり、コントラストをはっきりさせたりする時に使用します。デジタル現像が終わったら、レタッチです。ゴミを取りたいなどピンポイントに修正したい時「Photoshop」を使います。
――モデルさんを使ったりスタジオを借りたりするとかなり経費もかかるんですか?
経費は、ロケハン時も入れた交通費、スタジオ代、モデル代、ランチ代、小物代など5~10万円かかりますね。
――月の稼働時間はどのくらいですか?
最初は仕事とデートの時間以外、全ての時間を費やしていました。友達との遊び時間が激減しましたね。現在は、平日1時間以内、撮影前の休日に撮影準備に半日、撮影日1日、撮影の入っていない休日は準備、後処理に2時間ぐらいです。基本的には月1回の撮影をしていますが、ストックフォトは3月が一番売れるので、1月、2月は月に2回撮影しています。
売れるのはビジネスの人物画像。ただし、クオリティが高くないと見向きもされない
――人物撮影をメインにしているということですが、それは売れるからですか?
「PIXTA」が、人物写真が撮影できるようになると、撮影できるテーマが広がる上、人物写真の需要も多いので、収入アップに繋がりやすい。テーマはビジネスが一番人気ですが、ほかに運動、学生、家族イメージも人気です。
ビジネスは人気ですが競争も激しく、クオリティが高い物を上げないと見向きもされません。テイストで差別化することが重要です。
――カメラはSONYのα7Ⅲを使っているということですが、選んだ決め手は何ですか?
現在は他社も出していますが、私が購入した当時は瞳にピントを合わせ続ける「瞳オートフォーカス」の機能が他にはありませんでした。瞳にピントが合ってないと「PIXTA」の審査がNGですから。
Rと迷う人が多いと思いますが、風景やアートを撮るのでなければ、そこまで解像度は要らないと思います。動画撮影でも使い勝手が良いですし。
――将来、カメラマンになりたいのですか?
あくまで副業です。現在の仕事であるエンジニアが好きなので。でも趣味ではありません。ビジネスとして取り組んでいます。
――ありがとうございました。
取材・文/稲垣有紀