普段、仕事で自分が苦手なことやむずかしいと感じることは避けて通ったり、後回しにしたりしていないだろうか。しかし、あえて苦手なことを積極的に行ったり、むずかしいことから手をつけたりするほうがメリットがあるという有識者の声も多い。
『「先のばし」がなくなる仕事術』の著者でもある武田和久さんに、その理由や後回しにしないメリットを教えてもらった。
なぜ得意なことや簡単なことを優先させてはいけないか
苦手なことやむずかしいと感じることを後回しにするなと言われると、なぜ得意なことや簡単なことから手を付けてはいけないのか、と思う人もいるかもしれない。武田さんは次のように解説する。
「得意なことや簡単なことを優先したいという気持ちは当然です。なぜなら、面倒なことをしなくて済む、すぐに終えることができるというメリットがあるからです。一方、苦手なことやむずかしいことを優先して行うことは、短期的にはやりたくない気持ちが強かったり、面倒くささを感じたりして、デメリットに見えてしまいます。
しかし、今の自分の人生の中で高い目標を達成したり、今後のキャリアアップを考えたりしたときに、今までと同じことや簡単なことばかりを優先していては自己成長はあり得ません。
また苦手なことやむずかしいことを避けてばかりいると、必ず同じ壁や問題を繰り返しますし、それを乗り越えない限り、長期間、そういった壁や課題に毎回悩むことになってしまいます。『苦労は買ってでもしろ』と言われるように、得意なことや簡単なことよりも苦手なことやむずかしいことに挑戦することはとてもメリットがあるといえます」
苦手なことやむずかしいことを率先して行うメリット
一日の仕事のタスクを考えたときに、苦手なことやむずかしいと感じることがある場合、それらから手を付けるメリットについて、武田さんは次の4つを挙げる。
1.自信がつく
「これまで苦手だったことやむずかしく感じることを優先して行い、完成させると、大きな達成感を得ることができます。それによって人は自己承認を行うことで、さらなる自信を得ることができます」
2.自己成長できる
「苦手だったことやむずかしく感じることを優先して行うことによって、自分には足りなかったスキルや考え方を知ることができるため、自己理解が深まります。それによってそのスキルを学んだり、自分の意識を改善したりするきっかけとして自己成長が望めます」
3.目先のことにとらわれない判断力と意志力が身につく
「得意なことや簡単なことを優先することによって得られる短期的なメリットよりも、トータル面で考えた場合の長期的なメリットを選択できるようになることは、今後の人生において目先のことにとらわれずに冷静な判断を行うことができるようになります」
4.チャレンジ精神が身につく
「苦手だったことやむずかしく感じることを優先して行っていくと、今まで以上に時間がかかったり、失敗や困難を感じたりすることが多くなります。しかし、その分、新しいことにどんどん挑戦する習慣が身につくでしょう」